青空の下、雄大な景色を楽しむ登山客＝立山・雄山山頂付近

　　●本社記者ルポ 　11日の「山の日」を控えた10日、ふるさとの山の魅力に触れようと北アルプス・立山に足を運んだ。好天に恵まれた旧盆期間の初日とあって、室堂周辺は登山や散策を楽しむ大勢の家族連れらでにぎわっていた。北陸新幹線を利用して訪れた関西・中国地方からの登山客も見られ、敦賀延伸の効果を実感した。大学時代以来、3年ぶりの立山。多くの人を引き付ける雄大な自然に気分が高まった。（社会部・中町早友里） 【写真】みくりが池周辺を散策する行楽客=立山・室堂周辺 　午前5時、混雑を見込んで早めに玄関口の富山地方鉄道立山駅に到着した。ケーブルカーの始発の1時間以上前だったが、切符売り場はもう50人以上が並んでいた。駐車場は車でいっぱいだ。岡山に高知、大阪、盛岡…。県外ナンバーがずらりと並ぶ。 　切符を買ってケーブルカーと高原バスに揺られること約1時間、少しうとうとしたが硫黄のにおいで目が覚め、室堂ターミナル（標高2450メートル）に到着した。午前8時の気温は25・1度。最近は平地で真夏日が続いていたので、深呼吸がすがすがしい。 　山口県から夫婦で訪れた吉川晶子さん（58）は「V字の渓谷やくっきりした尾根に目を奪われ、いいところに来られた」と笑顔を見せた。 　みくりが池やみどりが池を散策し、一ノ越（標高約2700メートル）まで登った。どこも県内外の登山客でにぎわい、関西・中国地方からの登山客の中には、北陸新幹線を利用して富山入りした人がいた。 　仕事の合間を縫って訪れた岡山県の小林達生さん（62）は北陸新幹線の富山―敦賀間を走る「つるぎ」の由来が剱岳と知り、つるぎに乗って富山を訪れたそうだ。実物の剱岳を室堂から眺めた感想を尋ねると「さすが壮大ですね」と目を細めた。 　大阪府から訪れた塩音（しおん）理子さん（26）も敦賀から富山まで、新幹線に乗ってきた。北アルプスの絶景に目を奪われたようで「空の青色と植物の緑色のコントラストがきれい」と声を弾ませていた。 　立山室堂山荘は全37室の8月予約分はほぼ埋まり、9月分は全て埋まっている。新幹線に乗って来る人は、これまで以上にたくさんいるのだろう。 　雲が空を覆い始めた昼すぎ、室堂をあとにした。ふと足元に目をやると、靴底がはがれていた。新しい登山靴を買い、次は雄山登頂を目指そう。