太った人に「痛み」が多いわけ…サイトカインが原因?
【医者も知らない医学の新常識】 頭痛や腰痛などの慢性の「痛み」は、とてもありふれた症状である一方、原因も治療も確立されているとは言えません。人によっては全身に痛みが生じるケースもあり、日常生活が困難となることも稀ではありません。こうした痛みはなぜ起こるのでしょうか? 「MCTオイルダイエット」をやってみた! 本当に「かけるだけ」で体がどう変わった? 最近、体脂肪の多い肥満の患者さんでは体の痛みが起こりやすい、という研究結果が報告されて注目されています。体重が増えると膝などには負担が掛かりますから、そうした場所の痛みが増えることは理解が出来ますが、頭痛や首の痛みなど、あまり関連のなさそうな場所の痛みも増えているので、単純に体重のみの影響とは言えません。 今年の痛みの専門誌に発表された論文に、イギリスの大規模な医療データを解析した結果が報告されています。MRI検査で計測された内臓脂肪や皮下脂肪の量と、体に起こる痛みの数とを比較検証したところ、内臓脂肪と皮下脂肪のどちらも、その量が増えると体に起こる痛みの箇所も増える、という関連が認められました。 その原因はまだ不明ですが、内臓脂肪が増えるとそこからサイトカインと呼ばれる炎症物質が出て、それが痛みの原因となっている可能性が指摘されています。体重が増えてから体の痛みを感じるようになった方は、ダイエットが痛み止めより効果的かもしれません。 (石原藤樹/「北品川藤クリニック」院長)