マイホームの夢砕く、平均「億ション」…子育て世帯「都内に住み続けるのは難しい」
都心の住まいを諦めた子育て世帯の都外移住も進んでいる。
品川区の賃貸マンションに家族5人で暮らす会社員女性(38)は、約2年前に第3子が生まれ、広い家に住み替えたいと都内でマンションを探したが、新築は高額でどれも手を出せなかった。
そこで千葉県柏市の実家の近くで探したところ、同じ広さで都心の半額ほどの物件が見つかり、購入を決めた。女性は「住み慣れた東京を離れるのは残念だけど、子供が成長して教育費がかさむことを考えれば、都内に住み続けるのは難しい」と話す。
総務省の人口移動報告によると、東京は地方から若者の流入が著しく、2023年には転入者が転出者を上回る「転入超過」が5万8489人に達した。しかし年代別でみると、30~40歳代は20年以降、転出者が転入者を上回り、23年は1万1634人の転出超過だった。14歳以下も同じ傾向で、23年の転出超過は7553人と10年前の5倍近くに増えた。
立教大の田島夏与教授(都市経済学)によると、都内では1戸あたりの価格を抑えるために、狭い物件が増え始めており、子育て世帯がますます都外に流出する恐れがあるという。「マンションの建設ラッシュで好立地の用地が減り、価格高騰の一因になっている。新たな住戸を生み出すために、古いマンションの建て替えを促す施策も必要だ」。田島教授はそう指摘する。