なぜサウナ室で帽子を被るのか?サウナハットはいる?いらない?何が正解??
数年前からブームとなったサウナ。これは第3次サウナブームといわれていて、つまりその前に第1次、第2次のブームがあった。この第3次ブームで登場し、今ではさまざまな温浴施設やサウナで見るようになったのがサウナハット。サウナの中で被る帽子だが、それまでのサウナではほぼ見かけることがなかったアイテム。なぜ、暑いサウナの中で帽子をかぶるのだろうか。 サウナ行こ! ~こころもととのう、サウナ女子ノススメ~ ■サウナの本場フィンランドではほぼ被らないサウナハット 「サウナ」という単語はフィンランド語で、フィンランドはサウナ大国、サウナの本場と言われる。日本人にとって浴槽のお風呂に入浴するように、フィンランド人にとってサウナは身近なもので、もちろんフィンランド人の中でもサウナが好きではない人や頻繁に入らないという人もいるが、フィンランドの生活文化に欠かせないものであることは間違いない。 実際、第3次といわれる昨今のサウナブームにはフィンランドの要素が多々垣間見られる。“フィンランド式サウナ”なるサウナ施設があったり、フィンランド製のサウナストーブが設置されていたり、サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」もまたフィンランド語かつフィンランドのサウナの習慣だったりする。そんなこともあり、このタイミングで一般的になったサウナハットもフィンランドのものだと思う人も多い。しかし、フィンランド人に聞くと実際にフィンランドでサウナハットを被る人は少ないそう。 では、サウナハットの発祥はどこなのか。諸説あるが、サウナ室でロウリュをタオルであおぐ「アウフグース」の発祥といわれるドイツやロシアだといわれる。まあ、詳細はともかく、現時点では日本のサウナではサウナハットは定番アイテムとなっていると言っていい。ではなぜサウナハットを被るのか。まずはのぼせ防止。頭の温度が上がることでのぼせてしまうが、サウナハットをかぶることによって温度上昇を抑えられるとされる。サウナ室の熱い空気は上部に溜まるため、頭を熱から守るということだ。 さらにこの熱さから髪や頭皮を守るという意味もある。高温低湿度のサウナは髪にダメージを与えることもあり、また耳が痛くなるなど肌への負担もあることから、保護する意味でサウナハットを被るのだ。なので蒸気が充満するスチームサウナではサウナハットが蒸気で濡れてしまうだけであまり意味がない。ひっきりなしにロウリュのあるフィンランドのサウナでサウナハットが必要とされないのもまた、同じような理由かもしれない。 ■種類が多すぎて迷う!サウナハットはどう選ぶ? こうしたのぼせ防止や保護効果を考えると、サウナハットは被ったほうがいいように思うが、サウナ好きを公言している人でも被らない人も多く、結論から言えばどっちでもよく、好みの問題。そう言ってしまうと元も子もないが、好みの問題であるなら、使ってみたい人はサウナを楽しむためのアイテムとして取り入れればいい。事実、サウナハットを愛用している人は複数持っていて、その日の気分や一緒に行く相手、訪れるサウナ施設などによって使い分けて楽しんでいる。洋服を選ぶように色や柄を気分でチョイスしたり、1人でリラックスしたいときは外の音や光を遮れる深くかぶれる形状を選んだり、友だちと一緒のときはデザイン性のかわいいものにしたり、サウナタイムを楽しむ1つのアイテムとして活用すればいいと思う。 色やデザインの前に、サウナハットは素材の違いもある。よく見かけるのはタオル素材。お風呂でタオルを使うという意味でも一番身近な素材。肌触りもよく、コンパクトに畳むことができ、吸水性もあるので扱いやすいというのも人気の理由。形はシンプルなものが多いが、タオル地の厚さの違いがあったり、カラー展開も豊富で刺繍などを施しているものがあったりと、選択肢が多い。さらに使用後は洗濯機で洗いできるので手入れもラク。初心者にも使いやすい素材だ。 ポリエステルやナイロンなどの化学繊維もよく見かける。吸水性は低くなるが空気を含むため保温性に優れ、断熱効果が期待できる。また軽くてシワにもなりにくいので持ち運びにも便利。こちらも洗濯機で洗えるので手入れがしやすく、乾きやすいので頻繁にサウナに行く人や冬場、洗濯物が乾きにくい時期などでも気にせず使える。 ロシアなど熱いサウナが主流の国で使われるのが羊毛・ウール。日本ではフェルト素材のサウナハットも多い。羊毛・ウールのサウナハットは断熱性が高く、通気性があるので、蒸れにくく熱から髪や頭皮を守れるという意味では効果が高い素材といえる。ただ、羊毛・ウールのサウナハットはコンパクトに折りたためなかったり、かさばったりするので持ち運ぶときに面倒。洗濯機で洗うと縮んだり、毛羽立ったり、型崩れしたりするので手洗い+陰干しと手入れに手間がかかる。フェルト素材だとやや扱いやすくなり、価格も安くなる。 ほかにも、麻の一種であるリネンやデニム、コーデュロイなど、いろいろな素材でもサウナハットがあり、これだけ多種多様なサウナハットが選び放題なのは日本のサウナ文化の中だけなのではと思う。 ■完全個人的見解でおすすめしたいサウナハット3選 ここからは、「なんだかいろいろなサウナハットがあっておもしろそう!ちょっと被ってみたいかも」と思った人向けにサウナハットを紹介したい。まず、おすすめなのが源商店のサウナハットタオル。一見するとただのタオルのようだが、これがまあ、優秀!タオルをよく見るとボタンが付いていて、このボタンを留めかえることで、タオルとして、サウナハットとして、マスクとして、アイマスクとして、とにかくいろいろ使えるのだ。 両面パイルと表面シャーリング・裏面パイルの2タイプあり、質感や厚み、軽さなどが違い、それぞれカラー展開も4色あるので好きなものを選べる。このサウナハットタオルのいいところは、タオルであること。「いきなりサウナハットを持つのは…」と思っている人でも「タオルですが何か?」という感じで気軽にサウナ室に持ち込める。 もちろんそこまで人の目を気にする必要はないが、タオルを頭に巻くのは普通にお風呂に入るときにもしている人が多いと思うので、サウナハットタオルならわざわざ感がないのもいい。 このサウナハットタオルはボタンの留め方でいろいろな使い方ができるため、1枚で入ったサウナに合わせた巻き方ができるのがポイント。サッと頭部をカバーするだけでも頭を守ることができるが、例えば思ったより熱いサウナで鼻や口元をカバーしたいとき、ロウリュやアウフグースで強烈な熱さを防御したいとき、外部を遮断して自分の世界に没頭したいとき、休憩時に視界を覆いたいときなどなど、タオル1枚でサウナタイムを変えられる万能選手。 サウナハット使用率の低い街なかの銭湯や温泉旅館などのサウナでもタオルなら気軽にサウナ室に持って入れる。そして、実は温浴施設の忘れ物No.1、サウナ好きの人たちでもうっかり忘れてしまうサウナハットだが、タオルならその心配も軽減するかもしれない。シンプルな無地デザインでLOFTやハンズをはじめ通販サイトなどでも販売されているが、温浴施設やほかのブランドとのコラボデザインなどもあるのでチェックしてみて。 もう1つがサウナ好きの女性から高い支持を得ているサウニャのサウナハット。かわいいサウニャというキャラクターが目印のサウナブランドで、さまざまなデザインや素材のサウナハットやサウナグッズを展開している。サウナハットながらサウナでなくても被りたくなるデザイン。 デザインが気に入っているサウナハットなら持っているだけでも気分が上がり、サウナで被るのが楽しみになる。ファッション小物を選ぶようにサウナハットを選べるので、サウナハット初心者でも欲しくなるし、被りたくなる。 アイテムによって素材もいろいろあるので、デザイン性+素材で好みのものを選べるのもうれしい。かわいいものがあればサウナもより楽しくなる。サウナハットが欲しいけど、どんなものを選んでいいか迷っている女性におすすめしたい。 こちらも原則オンラインショップで販売しているが、人気のデザインはすぐに売り切れてしまうことも。サウナイベントやPOP UPなどに出店することも多く、その際に限定デザインが登場することもあるのでSNSなどでチェックするのがおすすめ。 もう1つは「刺繍でサウナを楽しくする」をテーマに、サウナで使う「ヴィヒタ」をモチーフにしたキャラクターがトレードマークの「Vihtarian(ヴィヒタリアン)」のサウナハット。せっかくなら刺繍を全面に配したサウナハットを選びたい。 全面の刺繍やそのデザインもユニークでかわいいが、ハットの形も被りやすい。頭をすっぽり包んでくれる深型の帽子なので、サウナ室でも視界を程よく遮ってくれて集中できる。個人的にはスーパー銭湯のような客層の幅が広いサウナで自分のペースをキープしたいときにおすすめ。ちょっとユニークな刺繍が魅力で、いくつも欲しくなる。 総柄の刺繍はちょっと目立ってしまうと思う人には「ベルベッティーン」、通称“ベッチン”と呼ばれる高級綿織物を使用したサウナハットもある。肌触りがなめらかで、保温性が高く光沢ある素材で、シンプルながら高級感があって存在感も十分。チューリップハットのようなシルエットもかわいい。 デザインも形状もユニセックスで使えるので、カップルでおそろいにしたり、違うデザインを交換して使ったりするのも楽しい。また、刺繍のプロということもあって、オプションで名入れ刺繍をオーダーすることもできるので、自分の名前はもちろん、推しや好きなものの名前を入れてもらってオリジナル感を出すのもいい。 もし、被ってみたいと思うなら機能性や利便性、デザイン性などなど、自分が優先したいポイントで満足できるもの、気分が上がるものを選ぶとサウナがもっと楽しくなる。繰り返しになるが、サウナハットは被っても被らなくても自由。自分らしくサウナを楽しむのが最優先だ。 取材・文=岡部礼子