金井宇宙飛行士がJAXAで会見(全文1)初フライトは宇宙飛行士の最終試験
宇宙飛行ミッションは自分のゴールと考えていない
初フライトに向けてということなんですけども、よく私、皆さんから言われるのは、いよいよ宇宙飛行ですね、夢が実現しますねっていうことをお声掛けいただいて、大変ありがたいんですけれども、実は私自身は、宇宙飛行ミッションというのは自分のゴールであるとはあんまり考えておらず、むしろ一人前の宇宙飛行士として仕事をしていく上での最終試験のようなものじゃないかな、というふうに考えております。宇宙飛行ミッションを成功して、そして無事に帰ってきて、そこで初めて宇宙飛行士というふうに名乗ることができて、そしてその自分の宇宙飛行の経験を元に日本の将来の宇宙開発に何か携わっていくことができれば、それが自分のこれからの目標なんじゃないかな。そのための、初フライトというのは最終試験のようなものなんじゃないのかなというふうに考えております。 特に今の日本の宇宙開発というのは、これまでのように先行するアメリカやロシアの技術に追い付けという、そういう時代から、今はロシアやアメリカと並んで、これから宇宙開発を行っていこうという国々のリーダー役を務めていく、そういう立ち場にあると考えております。特に私のミッション中には資料にも書かせていただきましたが、将来探査に関する国際的な大臣級の会合が日本を議長国として、ISEF2というんですけども、日本が議長となって、リーダーとなって、そういった会合をするようなチャンスもありますので、私もちょっと大それた希望かもしれませんが、自分のミッションの中でも日本が世界の宇宙開発の中でリーダーを執っていくという、そういう部分も見せることができたらいいなと考えております。 そしていまさらのような感じなんですけども、初フライトまでの道のりということで、私は2009年に宇宙飛行士の候補者として選抜を受けまして2年間の基礎訓練を受けて、2011年に宇宙飛行士として認定を受けました。その後、ミッションに任命されるまでの間、約4年間、いろいろな訓練を積んだり、さまざまなミッションサポートの業務をしてきたんですけども、人によってはずいぶん長い間、宇宙飛行までかかったんですねというふうに言ってくださる方もいるんですけども、逆に私の場合は、その4年間の期間中に、例えば私が担当していた業務は、ミッションのサポートの中でも宇宙ステーションでやっているさまざまな化学実験の、その手順の検証であったり、その化学実験、宇宙飛行士の立ち場からどういうふうに遂行するのが効率的なのかというような、そういうことも仕事として、業務としてやっていましたので、実はミッションに向けてのすごく良い準備ができて、万全の準備が整った状態でミッションに臨ませていただけるなと、逆に時間があったことで準備ができたというのを、私はポジティブに捉えております。