クリスマス目前、イルミネーションを明るく華やかに撮影するテクニック
望遠レンズの「圧縮効果」を使いこなそう
イルミネーションの光がまばらでは、画面全体が暗く、寂しげな印象を与えます。対策として、光の密度を高めて画面を華やかにするために、望遠レンズを使用すると良いでしょう。 望遠レンズには、遠くにある被写体が近くへ引き寄せられて、まるで奥行きがなくなったように錯覚することがあります。これを「圧縮効果」といい、イルミネーション撮影では有効に働きます。自分から見て直線上にイルミネーションが並んでいる場合、望遠レンズの圧縮効果で光の密度が高くなります。しかも、ピントの合っていない光はボケるため、より光が拡散して見えて華やいだ写真となるのです。
「クロスフィルター」装着でキラキラに
イルミネーションを、よりいっそう幻想的に撮影したい場合には、レンズの前面に「クロスフィルター」を装着すると良いでしょう。イルミネーションの光が放射状に広がって、まるで星が瞬いているように写すことができます。この広がった光の筋を「光芒(こうぼう)」といい、クロスフィルターには光芒の出る本数が4、6、8本と3種類あります。 ちなみに、このクロスフィルターはデジタル一眼レフの交換レンズにしか使えないと思っている方も多いのですが、実はスマートフォンのカメラレンズ向けにクロスフィルター(「キラキラレンズ」というネーミングのレンズ)が販売されているので、スマホ撮影派でも利用できますよ。
ピントをずらして、光を大きくボカす
どこにもピントを合わさずに撮影すると、光を大きくボカすことができます。ただし、この場合でも光の数がまばらだと、様になりませんので、なるべく光の密度が高い場所を狙って撮影しましょう。 青柳氏は「レンズをオートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えて、イルミネーションが明るく光っている方向にカメラを向けて、画面上のどこにもピントが来ない位置までピントリングを回せばOKです。ボケの量も自分の好みで調整してやればいいと思います」と説明します。 一方で、イルミネーションかどうかも判別できない写真になってしまうことから、青柳氏は「こういったイメージ重視の作品はメインとはなりにくいので、これだけを狙って撮影するということはありませんが、たくさん撮影する中にこういったイメージの作品があるとメリハリがつきます」と話します。 ボケを生かしたイルミネーションの光は幻想的で、しかもちょっとした工夫でグッとキラキラした華やかな写真になります。寒さ対策をして、街にイルミネーションを撮影しに出かけましょう! (写真:青柳敏史、文・写真:水澤敬) 青柳敏史(あおやぎ・さとし)東京造形大学にて造形学士号を取得後、同大学研究科で不可視光による映像表現について研究を行う。カメラ誌にてカメラマンアシスタントを経てフリー。天体撮影や科学写真を専門とし、肉眼では捉えられないような自然現象などを捉えるのが得意。