顔を隠した住民が大晦日の深夜に集まってきて…日本の奇習「悪口祭り」の実態が明かされた
ひたすら悪口を言い続ける祭り
茨城県の笠間市に「悪態祭り」という祭りがある。これは、ひたすら悪口を言い続けるという祭りだ。 【写真】家族の深い愛情が輝く『死後写真』を知っていますか 十二月の寒風の中、山のふもとの祠(ほこら)に、どこからともなく異様な風体の集団がやって来る。神官と十三人の白装束の男なのだが、男たちはみな竹竿を持ち、マスクをして押し黙っている。 神官が祠の前で祝詞を唱え、供え物をする。その周りを白装束の男たちが固めている。それに祭りの観客たちが襲いかかるのだ。
罵詈雑言を浴びせる
「バカヤロー!」 「さっさとどきやがれ、くされ天狗!」 「邪魔なんだよ! 消えうせろ!」 罵詈雑言を浴びせながら割り込もうとする。それを白装束が竹竿で殴りつけて阻止するが、観客の猛攻には敵わず、ついには逃げ出す。 観客は、供え物を略奪し、凱歌をあげる。 「取ってやったぜ、このヤロー!」 「ざまあみろ!」 「大馬鹿野郎め!」 十三人の白装束は、実は天狗ということになっている。山頂の愛宕神社までには十八の祠があり、そのそれぞれに神主は供え物をしていく。そのたびに、祭りの参加者が「くたばれ!」「どきやがれマヌケめ!」などと喚きながら、供え物を強奪していくのだ。最近は外国人の参加者も増え、罵詈雑言も英語やイタリア語、ウルドゥー語などの混じる国際色豊かなものになっている。
餅に難癖をつける祭り
参加者が悪態をつく祭りは、いかにも異様に見えるかもしれない。しかし、この手の祭りは日本には昔からたくさんあった。 たとえば、石川県能都町の菅原神社では十一月七日に「いどり祭り」という祭りが行われる。「いどる」とは「難癖をつける」という意味だ。 これは、その年の当番が大きな鏡餅を持ってきて、それに周囲の人々がケチをつけるという祭りなのだ。 「なんだ、薄い餅だな。透けて向こうがみえるじゃないか」 「表はきれいだが裏はガタガタ。みすぼらしいな」 「なんか黒ずんでるぞ。白さが足りん!」 などと鏡餅を罵倒する。当番は反論はするが、批判はおさまらない。それを見かねた神官が仲裁に入るというものだ。