「ポケモンカード」バブルは弾けても新たなブームの兆し。アプリ『ポケポケ』の衝撃
初心者でも対戦しやすい簡易ルールを導入
対戦ルールはスマホ用にカスタマイズされ、本家のデッキ60枚に対し、エネルギーカードを省いた20枚構成でサクサクと進みます。「運の要素が強い」という声もありますが、「簡易版で誰でも遊びやすい」「特別な準備が必要ない」など好意的な声が目立ちました。 現段階ではカードは全301種。第一弾「最強の遺伝子」は、ミュウツー、ピカチュウ、リザードンの3種のパックが用意されています(収録カードは『ポケポケ』独自のもの)。トレード機能については「今後のアップデートにて実装予定」と予告されています。
間口の広さで全世界的に社会現象化する!?
スタートダッシュを決めた『ポケポケ』ですが、ポケモンカードに興味がなかった層にまで浸透し、社会現象的な大ブームになるポテンシャルを秘めています。 一番の強みは、やはり間口が広い点。スターターパックを購入しなくてもよく、無料で1日2パック分コレクションを増やせるというのは、無課金や微課金中心のライト層には大きな魅力です。対戦ルールがシンプルなのも初心者には嬉しいところ。 また、今後コラボなどでさまざまな限定デジタルカードが登場すれば、話題にも事欠かないでしょう。イベントに来場したり、どこかのお店で買い物したり、そうした現実の行動とリンクしてレアカードがもらえるキャンペーンが実施されるとしたら、より幅広い層にアプローチできそうです。
紙のカードに代わりデジタルカード収集が主流になるか?
この『ポケポケ』の大ヒットで、デジタルカードコレクションへの注目も一層高まるのでは? という声も聞かれています。 デジタルカードコレクションというとNFT(非代替性トークン)化されて、唯一無二のデータとして価値が保証され、仮想通貨で取引できるというイメージがあり、この『ポケポケ』リリース前にもNFTが導入されるのではないかという憶測がありました。 しかし、実際には現状の『ポケポケ』はNFTではなく、また利用規約で「バーチャルコンテンツ若しくは本サービス上のデータを現金や電子マネー等の現実の通貨で売買すること(いわゆるリアルマネートレード)」を禁止行為として挙げています。 ただ、株式会社ポケモンは2022年にデジタルカードに関する特許を出願し、今年認められています。その目的は「デジタルTCG(トレーディングカードゲーム)において、カードに対する思い入れを残すことが可能な技術を提供する」こと。たとえば、各デジタルカードごとに対戦での使用履歴を記録し、表示させるプログラムなどが該当するようです。 その詳細な説明文のなかには、NFTや分散型台帳(ブロックチェーン)への言及もなされています。いわゆるNFTと聞いてイメージする資産性や換金性の裏付けとは方向性が異なりますが、それぞれのカードが書き換わり世界で1枚だけの存在になるという意味では、コレクション性を高めるやり方。『ポケポケ』にも将来的に、NFTと関連した機能が導入される可能性はありそうです。 『ポケポケ』は配信開始からまだ2週間ほど。今後どのような方向性でイベントやキャンペーンが展開されるのか? 本家のゲーム『ポケットモンスター』とのコラボはあるのか? 目が離せない存在です。 <文/卯月 鮎> 【卯月鮎】 ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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