勝つ文化を育む琉球ゴールデンキングスが連覇に王手、牧隼利「積み重ねてきた文化がチームの雰囲気につながっている」[B.LEAGUE FINALS 2023-24]【バスケ】
4Qで停滞の反省とそれでも押し戻す自信と経験
この時間帯は琉球がクーリーとアレックス・カークのツインタワーを敷いていた時間帯でもあった。強力なインサイド陣がコートに立っていたことで、逆にオフェンスが重くなっていた。セカンドユニットのハンドラーを務める牧隼利は、その時間帯に責任を感じている。「前半は良かったですけど、後半の3Q終わりから4Qにかけて少し流れを停滞させてしまった感覚もあったので、そこはしっかり反省して明日に生かしたいなと思います。個人としても、なかなかチャンピオンシップ(CS)に入ってからセカンドユニットの時間帯であまり良い流れが作れていないと思っています。今日も後半はあまり良くなかったので、また明日に向けてやるしかないというか。責任感は去年より強く持っています」と危機感を示した。 それでも、流れを明け渡しかける時間帯には今村や岸本を中心とした3P攻勢で流れを断ち切り、そのうちの1本には3Q終盤で決めた牧の一発も含まれる。牧自身は14分39秒のプレーで3P2/3の6得点、3アシスト、2ターンオーバーというスタッツだった。 最終的には2桁差に押し戻しての勝利となったが、それはファイナルという舞台への慣れや経験が影響したのか? そう牧に問うと、少し考えながら「慣れなのか、本当にみんなが優勝したいっていう気持ちが強いのか…」と話し始め、こう続けた。「落ち着きもありつつ、いい緊張感もあります。それはキャプテンの田代(直希)さんをはじめ、そういうキングスのカルチャーというか。ファイナルを経験したということよりも今まで積み重ねてきた文化みたいなものが、チームの雰囲気につながっているんじゃないかなと思います。去年までの話もありますが、今年のチームは今年のチーム。CSを通してアルバルク東京と千葉ジェッツを相手にゲーム3まで戦ったシリーズを勝ち抜いてきたという自信があって、それによって少し冷静な気持ちでみんな試合に臨めているのかなと思います」。ファイナルという舞台への慣れよりも積み上げてきた勝つ文化と、過酷な今季のCSでの経験が大きく生きていると強調した。 牧の言葉を証明するように、前日の公開練習から、どこか琉球の選手たちからはゆとりが感じられた。メディアに公開されたのは練習終わりのシュートアラウンド15分間だったが、とても和やかにシューティングをしている選手たちの姿が印象的だった。ファイナルでの経験はもちろん、ギリギリの試合を勝ち抜いてきた自負と自信──それが今の琉球をより強くしている。 桶谷HCも選手たちのプレーについて「すごく落ち着いてるなと思いました。スタートのメンバーはもちろん、クロージングで使った松脇を含めたメンバーがすごく落ち着いているように見えました。選手たちがすごくこの舞台に慣れているというか、慌てずにプレーしているなと感じました。もちろん、牧などの他のメンバーも慣れていると思いますが、特にスタートとクロージングメンバーはこういう場面でもちゃんと勝ち方を知っているなと思って見ていました」と信頼を口にしている。 とはいえ、カイル・ミリングHC率いる広島は、さまざまななアジャストをしながらCSを勝ち抜いてきたチーム。ファイナルで勝った経験も、負けた経験もある琉球に油断はない。 「まだ全然満足していません。明日勝って初めて僕は満足するんじゃないかと思います」。牧の言葉は力強かった。