【記者解説】石破人事の思惑とは?(「借金」返済人事!?)
YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。 2024年10月2日に公開された動画のテーマは「自民党総裁選総括 記者の目に映ったものとは」 9月27日に投開票が行われた自民党総裁選の結果の振り返りや人事の動向について、現役政治記者である産経新聞デジタル報道部政治担当デスクの水内茂幸氏と朝日新聞・前政治部長の林尚行氏のお二方に伺いました。 歴代最多の9人が争った総裁選。石破新総理の人事の裏側にあるドラマをお楽しみください! 【このトピックのポイント】 ・高市氏の優勢から石破氏の逆転勝利、その裏側の力学とは? ・派閥はなくとも「借金返済の人事」 ・「疑似政権交代」で国民の支持を集められるか
総裁選のドラマを作ったのはあの2人
今回の自民党総裁選では、1回目の投票で過半数を取る候補者がいませんでした。石破茂氏と高市早苗氏による決選投票の末、石破茂氏が第28代総裁に選出されました。 水内茂幸氏は、初回の国会議員投票で72票を集めた高市氏に注目します。 もともと、高市氏の票は40票程度とみられていました。投票日の前日に高市氏支持の動きを見せた麻生太郎氏の票が乗ったと思われます。 水内茂幸氏「明らかに想像より違うという姿を見せ、高市さんになるぞという、決選投票に向けての締め付け的意味もあったと思いますが、それがふたを開けてみると違う感じになるのが面白いですよね」
決選投票での主役は、前総理大臣の岸田文雄氏。 水内氏「岸田さんは、『Anything But 高市』だったわけですよ。高市さんだけはダメだと。(麻生氏から高市氏に乗ることにしたと)電話をもらって、岸田さんも火が付いたんじゃないかと思うんですよね」 高市氏は岸田内閣の閣僚でしたが、防衛増税の時に異論を述べるなど、政権運営で折り合いが悪かったと水内氏は分析します。かねてからの関係性に加え、麻生氏が推したこともあり、岸田氏の気が引き締まったのではないかと推察します。 本命候補とされていた小泉進次郎氏は、決選投票に残れませんでした。 林氏は、終盤失速した小泉陣営が、議員票を上積みすることで逆転し、「2位までに入れば総裁だ」という戦略を立てたと説明します。 林尚行氏「でも、党員票の勢いが予想以上に強く、無理だと判断した小泉陣営が『高市じゃない、石破に乗れ』と。進次郎さんで固めた票を、いかにこぼれない形にして2回目に石破氏に投票するかというシナリオがうまくいったのだろう」 また、「麻生さんの30票は今回の総裁選の大きなドラマでした」と語る林氏は、「麻生さんはずっと悩んでいたんですよね。石破と小泉の決選投票だけは嫌だというところから始まっていた」と解説します。