なぜ夕方のニュースにはグルメ番組が多いの?「午後6時15分」地方局の戦い
地方局のニュース番組は原則50分しかない
地方テレビ局が独自で制作するニュース番組の時間帯は原則、午前11時50分台の5分間のニュースと、夕方の午後6時15分から午後7時までの45分間だ。この2つを合わせた50分間でニュースを流すため、日夜取材に走り回っている。地域によって、朝のニュース、午後8時台のニュースの時間にも定時にニュースを流しているが、大半の地方局が放送しているのは、午後6時台。日本に100以上あるテレビ局で一斉にニュースが報道されているこの夕方にいかに独自色を出すか、ここに地方テレビ局は日々頭を悩ませているのだ。 朝の市場で、威勢の良い「魚の競り」の様子を撮影しようと思えば、午前6時や7時にはカメラを構えて現場にたたずむ。時には片道2時間かけてその季節しか見られない風景を撮りに行くこともある。高山植物の映像を撮影するために2日間かけて山を登ることもある。今何がニュースなのか、何が面白いのか、どうしたら見てもらえるのか。そうしてできているのが、地方テレビ局の午後6時台のニュースなのだ。
グルメ番組の裏では選挙報道が
例えば日本テレビ系を例に挙げてみると、関東では日本テレビが懐かしの喫茶店グルメに関する特集をしている同時間帯、東北・宮城県では宮城テレビ(MMT)が、8月2日の仙台市議選を控えて何やら開票作業などについて報道している。 九州・鹿児島県の鹿児島読売テレビ(KYT)では甲子園出場の鹿児島実業の壮行会の特集だ。
同じ県内でも放送内容は局によって異なる。秋田県を例にとると、秋田放送(ABS)が、「人間爆弾」を研究という内容。秋田テレビ(AKT)ではプロバスケットボールの地元チームが新リーグの1部に入ることが決まったというニュースだ。 福岡のテレビ欄を見ても実に多彩な内容。可能なら全部見たい。しかしこれを見られるのは福岡県に住む人たちだけ。福岡県民のための特別なニュースなのだ。うらやましい。見たい。
テレビ局によっては、HPにその日のニュースの動画をアップしていることがあるが、やはりテレビはリアルタイムで、生放送で見た方が楽しい。ライブ感こそテレビだと思う。そして「ここが面白いですよ」と記者やディレクターが編集し、選んでくれている。 テレビの生中継でも、複数のカメラマンが撮影し、「次、この映像行くぞ!」と、どんどん映像を切り替えていく。映像が、そして情報が編集されていく。同じニュースでも、局が変われば、編集の仕方や原稿が全く違うことがある。取材している人が違えば当然、ニュースのポイントが違うからだ。