心を守る習慣「ストレスコーピング」とは?意味や種類、実践のポイントを紹介
残業が多すぎる、大きなミスをした、プロジェクトが進まない…。仕事でついイライラしたり、落ち込んだりするのは誰にでもあることですが、そうしたストレスと上手につきあう対処法「ストレスコーピング」を知っておけば、私たちの日々はグンと楽になるはずです。そこで、ストレスコーピングの方法や、働く毎日の中でどのように取り入れて行けばいいのかについて、東邦大学医療センターの小山文彦先生にお話をうかがいました。
ストレスコーピングとは
私たちにとってストレスは、生きていく上で避けられないものです。でも、ストレスと上手につきあったり、解消したりする方法を意識して身につけていくことは可能です。 そうしたストレスに対処する方法のことを「コーピング(coping)」または「ストレスコーピング」といいます。英語で「対処する・処理する」という意味の「cope」が語源で、アメリカの心理学者、リチャード・ラザルスによって提唱されました。 まずストレスコーピングにはどのような方法があるかを、身近な例で見ていきましょう。 ◆職場でストレスを感じたときはどう対処する? みなさんも、仕事で取引先やお客さんから思いがけないクレームが来たり、トラブル続きで仕事が思うように進まなかったりしたときに、とても嫌な気持ちや、不安な気持ちになることがあるのではないでしょうか。そこで質問です。あなたはそんなとき、次のどのような方法で対処することが多いですか? 【タイプ1】 「失敗も次のステップに繋がることだよね」「仕事だからまあ仕方がない」と割り切ってみたり、「これは私だけの責任じゃないから…」と密かに心の中で言い訳したりして、嫌な気持ちを紛らわそうとする。 【タイプ2】 再び同じことが起きないように対策を考える、同じ体験をした上司や先輩に相談する、情報を集めるなど、行動することによって、自分がストレスを感じている環境を変えようとする。 【タイプ3】 友人と食事したり、お酒を飲んだり、週末にスポーツを楽しんだり、音楽を聴いてリラックスするなど、自分にとって楽しいことや、心地よいことをして気持ちを切り替える。 ◆「ストレスコーピング」には3つのタイプがある いかがでしょうか。 実は、上の回答例にある対処法は、そのまま、ストレスコーピングの「情動焦点型」「問題焦点型」「ストレス解消型」という3つの分類に当てはまるものです。 【タイプ1】=情動焦点型コーピング ストレスが原因で生じた自分自身の嫌な気持や不安な気持ち、つまり「情動」に焦点を当てて、自分の考え方や感じ方を変えようとする対処法。 【タイプ2】=問題焦点型コーピング 自分の気持ちではなく、ストレスの原因に焦点を当てて、それを解消するために行動を起こす対処法。 【タイプ3】=ストレス解消型コーピング ストレスを感じた後に、その影響を外へ追い出したり、発散させたりするために行う対処法。別名「気晴らし型コーピング」とも呼ばれます。 では、これら3つのコーピングの特徴と活用のポイントについて解説していきましょう。