割れた司法判断 調布飛行場墜落 住民女性が巻き添えに 警視庁150年 140/150
伊豆諸島と本土を結ぶ東京都調布市の調布飛行場。戦中には帝都の守りの要でもあった。その飛行場で平成27年、悲劇が起きる。 7月26日、飛行場を出発した5人乗りの小型機が住宅密集地に墜落し、炎上した。離陸から墜落まで26秒。住宅10棟が焼け、住人の女性=当時(34)=が犠牲になり、男性機長=同(36)、男性搭乗客=同(36)=も死亡。5人が負傷した。 警視庁捜査1課や運輸安全委員会の調べで、ずさんな飛行実態が明らかになった。墜落機の管理会社「日本エアロテック」は国の許可を得ずに遊覧飛行を展開。墜落当時、十数万円の報酬で搭乗客を乗せていた。小型機は重量が飛行に大きく影響するが、搭乗者は体重の確認もされなかった。運輸安全委は29年7月、重量超過などによる速度低下が原因との調査報告書をまとめ、翌年11月、警視庁は業務上過失致死傷容疑で、死亡した機長と管理会社社長を書類送検した。 司法の判断は分かれた。刑事事件としては、重量超過と墜落の関連を裏付けるには至らず業務上過失致死傷容疑は不起訴となった。一方、女性の遺族が管理会社などを相手取って起こした民事訴訟の1審では重量超過が原因と認めたが、控訴審では重量超過を否定。食い違う結論は、航空事故の原因究明の難しさを浮き彫りにした。(内田優作)