「中止も」検討 故宮展ポスターで台湾が日本に猛抗議
東京国立博物館で開催を予定している「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」展のポスターから「国立」の2文字が抜けていたとして、台湾の故宮側が抗議、日本側の対応次第によっては、展覧会自体の中止も示唆している。また、馬英九総統をはじめとする政府側もこの問題に対し、関心を強めているようだ。
会見中止し抗議 特別展自体の取り消しも示唆
問題とされているのは、東京国立博物館で6月24日から開催される特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」のPRポスターだ。同展では、白菜をかたどったヒスイの彫刻「翠玉白菜」と、豚の角煮に似せた彫刻「肉形石」の2大文物が、今回初めて海外で展示されることもあって、注目を集めていた。東京国立博物館の公式サイトなどには同展の正式名称が掲載されているが、一部のポスターで「国立」の表記が抜け落ちているのを台湾メディアの関係者らが発見。これを問題視した故宮側は20日午後、東京国立博物館で予定していた「翠玉白菜」に関する記者会見を中止にした。故宮側は正式に書面でも抗議し、「抗議、訂正に応じない場合は、東京国立博物館および九州国立博物館での展覧会を全面的に中止する」と発表。日本時間22日の午前0時までに、問題のポスターを取り下げるよう要求している。
総統夫人の訪日に影響? 台湾の政府も動向に注目
今回のポスター問題については、故宮側だけでなく、馬英九総統をはじめとする台湾の政府も関心を強めているようだ。馬総統はすでに行政院(内閣に相当)に対し、東京国立博物館と早急に交渉し修正を求めるよう指示を出した。また、即時の返答が期待できない場合は、訪日が予定されている馬総統の周美青夫人の開幕式欠席や、一切の展示活動自体を取り消すことも検討するとしている。馬総統は、「今回、国宝を日本に出展することは史上初ということもあり、日台間の文化交流にとって、非常に重要だと考えている。特別展は非常に長い時間を費やして準備され、日台双方の人々の期待も大きい。しかし、『国立故宮博物院』は唯一の正式名称であり、国の尊厳は絶対に守らなければならないもので、それが傷つけられることは、政府と人民ともに受けられない」と政府としての見解を示した。