人口世界一のインド、迫る巨大な総選挙 現首相は支持率圧倒、野党側は「顔」も決まらず
中国を抜き人口世界一となったインドで4~5月にも総選挙(下院定数545)が実施される。圧倒的支持率を誇るモディ首相の与党インド人民党(BJP)に対し、野党は約30政党で「インド国家開発包括同盟(INDIA)」を昨年7月に結成、総力戦で臨む構えを見せた。しかし選挙が迫る中、首相候補も未定のまま。期待感は急速にしぼんでいる。(共同通信=高司翔一郎) BJPはモディ氏を初めて首相候補とした2014年の選挙で282議席を占め、1984年以来となる単独過半数を獲得した。2019年の前回選挙では303議席と積み増し、モディ氏は今回370議席以上を確保できると自信を見せる。 モディ氏は堅調な経済を背景に根強い人気を誇る。地元メディアによると、モディ政権下の2期10年でインドの国内総生産(GDP)は10位から5位に浮上した。モディ氏は、3期目に入れば日本やドイツを抜き、米国と中国に次ぐ3位になるとアピールする。
インドでは貧困層の多さが問題となってきたが、モディ氏は過去5年間で1億3千万人以上が貧困から抜け出したとも訴える。空港や高速道路網、都市鉄道網などのインフラ整備も進み、目に見える形で人々に豊かさをもたらした。 対抗するのは、インド政界の名門「ネール、ガンジー家」の子息ラフル・ガンジー氏が実質的リーダーを務める最大野党、国民会議派を中心とした野党連合だ。「BJP1強」を打開しようと、デリー首都圏や北部パンジャブ州で人気がある庶民党、西ベンガル州で強い勢力を持つ草の根会議派などとINDIAを結成した。 しかし「顔」となる首相候補を巡っても対立。今年1月には大票田の東部ビハール州で州首相を務める実力者クマール氏が率いるジャナタ・ダルが離脱、BJP側に合流した。 BJPはヒンズー至上主義団体「民族義勇団(RSS)」を支持母体とする。14億2千万人を超える人口の約8割はヒンズー教徒で、モディ政権下でイスラム教徒など少数派との分断が進んだと指摘されている。