目が覚めると予想外のできごとが…たかがニキビで「救急搬送」女子大生を襲った悲劇 抗菌薬で生じたアナフィラキシーの顛末とは
そのときも服用後、すぐに全身にじんましんが表れた。皮膚科で診てもらったら「薬の副作用の可能性がある」と言われ、大学病院を紹介された。 「あれから7年あまり経っていたし、あのときのできごとはすっかり忘れてしまっていたんです」(早苗さん) ただ今回、アナフィラキシーを発症したことで、「自分の体は自分で守るしかない」と実感したという。これからはどの診療科に行くときも、初診時に書く問診票のアレルギー欄には「○」を付け、抗菌薬で起こったことを詳しく書いて、自分の口からも医師に話すようにするつもりだ。
■総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解 総合診療かかりつけ医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「薬によるアナフィラキシーを起こす人はときどきいます。早苗さんのケースと同様、抗菌薬によるものが多いです」とのこと。 抗菌薬にはいくつか種類があるが、その中でもとくに「セフェム系」「ペニシリン系」で起こりやすいことがわかっているという(参考までに、早苗さんが今回服用した『ミノサイクリン』は、テトラサイクリン系抗菌薬の仲間)。
■アレルギー体質の人は要注意 アナフィラキシーは、特定の物質に対して免疫が過剰に働くことで起こる。そのスタートは原因物質(アレルゲン)が体内に入り、それに対する免疫が構築される「感作(かんさ)」だ。感作が成立したあと、次に原因物質が体内に入るとアレルギー反応が引き起こされる。 「このため、初回の服用でアレルギー反応が起こることはなく、出る場合は2回目ということが多いのです」(菊池医師) また、過去に薬によるアレルギーを起こした人は、別の薬でも起こりやすいので注意が必要だ。花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている人も、薬によるアレルギーが起こりやすい可能性があると菊池医師は感じている。
ちなみに、早苗さんが7年前に感染したEBウイルスに使われることが多いペニシリン系の抗菌薬も、前述したようにアレルギーが出やすいことが知られている。早苗さんが高校1年のときに経験したじんましんも、おそらく、このケースだと考えられるそうだ。 市販薬も含め、薬の種類は多岐にわたり、誰もが何かの薬でアナフィラキシーを起こすことはあり得る。しかし、予期することは難しいため、まずは症状が出たときの対処法を知っておくことが大切だ。