目が覚めると予想外のできごとが…たかがニキビで「救急搬送」女子大生を襲った悲劇 抗菌薬で生じたアナフィラキシーの顛末とは
「薬をまずはストップして、様子を見てください」 「わかりました」と返事をして、電話を切った直後のことだった。早苗さんの体は、さらにとんでもない状況に陥った。 そのときの状況を早苗さんはこう話す。 「まず手足が動かせなくなり、立ち上がることもできなくなりました。ソファに横たわっていないと、耐えられない状態という感じでした」 しばらくすると、全身の異変に加えて、猛烈な吐き気と腹痛が襲ってきた。早苗さんは這いつくばってトイレに行き、お腹の中のものをすべて出したという。
吐くと少し気分はよくなったが、起き上がれない状態に変わりはない。 その頃、母親からの連絡を受けて急遽、父親が帰宅。娘の異変を目の当たりにしてことの深刻さを察知し、「すぐに救急車を呼ばないと!」と119番に電話した。 救急隊がやってきたのは17時30分頃。症状を告げると「アナフィラキシーの疑い」を指摘され、近くの総合病院に搬送された。対応した救急医も、「薬を服用後すぐに症状が出ているので、薬によるアナフィラキシーに間違いない」と診断をつけた。
幸い、お腹の中のものをすべて出しつくしたせいか、病院に着く頃には症状はかなり治まっていた。残っていた不快な症状も、病院でアナフィラキシーの治療を受けると、すぐに治まった。 早苗さんはこのとき、医師から「アナフィラキシーが重篤化すると気道がふさがれ、窒息してしまうこともある」と説明され、「救急車を呼んで正解だった」と言われたそうだ。 ■まさか自分がアナフィラキシーに アナフィラキシーとは、アレルギーがある食べ物や薬を口にしたり、ハチに刺されたりしたあとに皮膚のかゆみや赤み、じんましんなどの皮膚症状、唇や舌のむくみ、呼吸困難や下痢、嘔吐などが表れるものをいう。
重症の場合には血圧が急低下したり意識を失ったりすることもあり、これを「アナフィラキシーショック」という。 「まさか自分がアナフィラキシーになるなんて、と驚きました」と早苗さん振り返ってこう話す。 原因となったのは、ニキビの治療でもらった抗菌薬だったが、半年ほど前に同じ抗菌薬を処方されて飲んだときは、何も症状が出なかったそうだ。 「ただ、関連があるかわらないんですけれど……」 今回の件で、母親と話しているときに思い出した“心当たり”が1つあったという。高校1年生のときに、扁桃炎で別の抗菌薬を飲んだときにじんましんが出て、3週間ほど入院したことがあったのだ(のちに扁桃腺は、EBウイルス感染症によるものと判明)。