米メタのロゴと欧州旗=2023年5月22日、ロイター

　欧州連合（EU）は1日、米メタの欧州限定の「有料サービス」が、デジタル市場法（DMA）に違反しているとの暫定的な見解を示した。メタは欧州で、フェイスブックやインスタグラムなどの有料サービスを選んだ利用者に対し、収集したデータを組み合わせて「ターゲティング広告」に使わなかったり、こうした広告を表示しなかったりしている。EUはメタ側の反論も踏まえ、来年3月までに最終判断する。違反が認められれば、世界総売上高の10%を上限とした制裁金を科す可能性がある。 【画像】フェイスブックの詐欺広告などを問題視　EU、メタの調査開始 　今年3月に本格運用が始まったDMAは、ターゲティング広告を念頭に、利用者のデータを他のサービスで取得したデータと組み合わせて使うことを禁じている。 　DMAを受けてメタは、昨年11月から欧州に限定して、月々約10ユーロ（約1700円）の有料サービスを始めた。広告が表示されないほか、フェイスブックやインスタグラムで収集したデータをターゲティング広告に使わないことをうたっている。 　しかしEUの行政を担う欧州委員会は、「有料か同意かの二者択一的な選択は、利用者にデータの提供を強いている」と指摘。正当な代替手段を提供していない恐れがあるとして、DMAに違反するとの見方を示した。 　DMAをめぐっては、EUは6月24日に米アップルに対し、iPhone（アイフォーン）向けなどのアプリストアの「開放」が不十分だとして、違反しているとの暫定的な見解を示している。（ブリュッセル＝牛尾梓）