総裁選出馬に黄色信号 麻生副総裁の「岸田切り」に現実味
地方から上がり始めた「岸田降ろし」の声
今月23日に通常国会は会期末を迎えるが、国会開会中に岸田が解散に踏み切ることは「ほぼ可能性としてゼロ」(自民関係者)と見られている。 4月の衆院補選、5月の静岡県知事選、東京都議補選などでの相次ぐ敗北を受け、公明党を含む与党内には「岸田では絶対選挙は戦えない」という空気が充満している。 そして通常国会終了後にはいよいよ、“岸田降ろし”が始まるという見方が広がっている。 自民関係者「すでに地方からは岸田総理に対して公然と責任を問う声や、退陣を求める声が上がっている。総理が解散できずに国会を終えれば、“総裁選前の解散はない”となり一気に“ポスト岸田”に向けた動きが加速する」 自民党の横浜市連や青森県連などからは岸田への退陣要求が吹き出しているが、この勢いは今後も続くと見られている。 およそ四半世紀昔のことだが、2001年に支持率低迷に悩んだ森喜朗総理が退陣に追い込まれたきっかけは、自民党宮城県連からの退陣要求だった。その後、退陣を求める声は燎原の火のごとく全国へと広がっていった。 「地方の不満はかなり根深い。地方選挙での連戦連敗がかなり危機感をあおっている」と与党関係者は指摘する。 麻生との関係修復の道筋が見えない中、岸田はイタリアでのG7サミットを終え、同行した報道陣への取材に応じた。記者から「衆議院の解散や、幹事長を含む人事に踏み切る考えは」と問われた岸田は「政治資金規正法改正案の成立などにおいて結果を出す。このこと以外いまは考えていない」と短く答えた。 20日にはいよいよ東京都知事選挙が告示され17日間の戦いが始まる。自民党は小池百合子都知事を全面支援する方針だが、小池サイドは自民党カラーを極力抑えたい意向を滲ませている。このため自民の推薦や支援などは受け付けず、選挙期間中に一定の活動ができる「確認団体」を設立し、そこに自民や公明の議員が個人として参加する案などが検討されている。いずれにせよ小池vs.蓮舫の事実上の一騎打ちとなる知事選に岸田の影は全く窺えない。 麻生に見放され、自民党内で孤立し、次の打つ手が見いだせない。「レームダック(死に体)」という言葉が現実味を帯びてきた。
政治ジャーナリスト 永田象山