小倉智昭さんと「とくダネ!」で共演した大村正樹さん、「最後まで元気でしたね」近年の様子を明かす
フジテレビ系「情報プレゼンター とくダネ!」の司会などを務めたフリーアナウンサーの小倉智昭(おぐら・ともあき)さんが9日午後3時8分、膀胱(ぼうこう)がんのため死去した。77歳。秋田市出身。2016年に膀胱がんを公表し、21年に肺に転移。昨年には腎盂(じんう)がんと診断され左の腎臓の全摘手術を受けていた。入退院を繰り返しながら治療に励んでいたが、先月に骨盤や腰椎、髄膜にも転移が見つかり、最後は最愛の妻と愛犬に見守られながら息を引き取った。葬儀は家族葬で行い、後日お別れの会を開く。 小倉さんとともに「情報プレゼンター とくダネ!」のキャスターを務め、長年親交の深かった大村正樹さんが本紙の取材に応じ、小倉さんの最近の様子について明かした。 昨年12月に左腎臓を摘出後、今年1月に余命1年半と宣告を受けた小倉さん。妻は母親の介護のために東京都内の実家に戻っており、週に3回ほどのペースで小倉さんのもとを訪れる生活だった。免疫系に作用する点滴剤「キイトルーダ」で治療を続ける一方、約半年前から足に痛みを感じ「250歩を歩くのがやっと」だとつらそうにしていたという。 2年前から腰痛にも悩まされ、ヘルニアと診断されていたが、先月に背中に激痛を感じて入院し、精密検査の結果、骨盤や腰椎への転移が判明した。さらに今月に入って脳(髄膜)への転移が見つかり手の施しようがない状態だったという。治療の手だてがなくなり、今月6日に自宅へ。愛する妻と過ごすことができた。 大村さんは「最後まで元気でしたね。僕の前では絶対に弱音を吐かない。本人も『へその上から上は元気』だと言っていて、他愛もない話をたくさんしていました」と明かした。五輪にも長く携わってきただけに「パラリンピックに出たい。何か出られる競技はないかなぁ」と本気で考えていたという。 10月に2人で北海道でゴルフ旅行に行くプランを立てたが、小倉さんの腰痛がひどくてキャンセルした。大村さんがゴルフ場の会員権の売却を勧めたところ「そうすると目標がなくなっちゃうから」と却下し「また暖かくなったら北海道へ行こう」とラウンドを心待ちにしていた。“鉄人・小倉”のポジティブな人柄を象徴するエピソードだった。 脳への転移が見つかった際はさすがに気落ちしていたそうだが、自宅へ戻ってからは「車で1時間半もかけて来てくれてご飯も作ってくれる。すごいカミさんだよ」と毒のない純粋な感謝を口にしていたという。そんな愛妻に見守られ、静かに息を引き取った。
中日スポーツ