なぜ日本人女性は台所にいる時間が世界平均より長いのか? 理系博士ママが考えるその原因とは
子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 【電車のベビーカー問題】母親が平謝りする日本と、周りが優しく助けるオランダ…大きく広がる子育て格差 第35回目は、「日本人女性の家事事情」についてお話しします。
食事は“自炊”しなくちゃいけない?
皆さんは、いわゆる主婦業と呼ばれる家庭の仕事に、どのくらい時間をかけていますか? いろいろと国際比較はあるのですが、今回は特に「食事」に注目をしてみたいと思います。 みなさんには食事を「自炊しなければ」という気持ちはありますか? 妊娠中の食事のためには、栄養バランスを、とか、一日30品目を、とか、母子手帳にも記載があったり、子どもが生まれたときの離乳食の作り方とかの丁寧なインストラクションを見ると、それらをやらねば!という気持ちになるのでしょうか。 最近は、海外の方々から「日本のお弁当ってすごい!」というイメージもあったりするくらいなので、よほどのものを作っているということでしょう。
日本の女性は台所にいる時間が長い
実際、イメージ通り、日本人女性は家事に大変長い時間をかけています。アメリカとの比較では、日本は1日あたり7時間半、アメリカは6時間弱という結果があります。 参考:男女共同参画白書 令和2年版「6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較)」 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-c01-02-2.html この差がどこからくるのかというと、台所で過ごす時間に差があると言われています。つまり、料理にどれだけの時間をかけるか、です。どうやら日本では“手作りの食事がいい”と考えられているようで,どれだけ自炊できるかで、子どもの成績が決まると考える方も多いと言われています。 一方で、国際学力調査の成績だけ見ると、OECD各国の中で、日本はシンガポールなどに負けています。シンガポールや香港などの国は、朝ごはんを手作りする文化はありません。朝の食事は外食をする文化です。そう考えると、食事を手作りしなければ成績が上がらないと思うのは、ちょっと矛盾があるなと、私は感じています。