バルクアップのためのトレーニングで意識したいポイントは?(基礎知識編)
重量やレップ数によるトレーニング効果の違い
バルクアップという目的を達成するためには、筋肉を効率良く大きくする方法を選ばないといけません。選択する重量や挙上回数によって得られる効果が変わるため、自身の目的と照らし合わせながらメニューを構築できると良いでしょう。なお、ここでもやはり個別性の原理により、一般論から外れたメニューに強く反応する場合もあることには注意してください。まずは基本を試してみて、合わなければ自分流に変えていくという流れが良いでしょう。 高重量低回数トレーニングの特徴 高強度低回数トレーニングは、1RMの90%程度の重量を扱うのが特徴です。回数としては3回前後が基本で、筋力の向上に特に効果があります。3回から5回行える重量でトレーニングしたところ、9回から11回や20回から28回でトレーニングした場合よりも大きな筋力の増加が見られたとされています(3)。筋肥大が全く起こらないという訳ではないですが、全体として見た時のトレーニングのボリュームは小さくなるため、次に紹介する中重量中回数トレーニングよりは肥大の程度は小さくなりがちです。体重制限のある競技に参加するアスリートが、瞬発力向上のためにこのタイプのトレーニングを取り入れることが多いです。バルクアップを目指す場合にはあまり適さないタイプのトレーニングと言えます。 中重量中回数トレーニングの特徴 中重量中回数のトレーニングは、フィットネス競技を行う選手の多くが採用しているトレーニング法で、バルクアップ(筋肥大)には最も効率が高いとされます。中重量中回数トレーニングでは、8回から10回程度行えるウエイトを扱うのが一般的です。この重量は、1RMの80%程度に相当します。”American College of Sports Medicine” 誌は、トレーニング初心者は1RMの70%から85%の強度で8回から12回、上級者は状況に応じて、1RMの70%から100%の強度で1回から12回のトレーニングをすることを推奨しています(4)。上級者は自分に合った正しいフォームが身に付けられているため、重量や回数にバリエーションを持たせても筋肥大できる可能性があります。一方の初心者は、筋肥大を狙うのであれば、まずは基本に忠実に8回から10回できる重さを目指してトレーニングすると良いでしょう。回数が多めなので、正しいフォームを反復して覚えやすいのも初心者にとっては良い点です。 低重量高回数トレーニングの特徴 低重量高回数のトレーニングは、他のトレーニングと比べると厳密に回数が決まっていないです。このトレーニングの目的は筋持久力の向上で、それほど強い負荷がかからない状況で、長い時間筋肉が働けるようにすることを狙います。自重の腕立て伏せ30回や、1RMの60%程度のスクワット20回などが一例です。筋持久力を高めることが目的のトレーニングなので、筋肥大の効果はそれほど大きくありません。そのため、バルクアップとはあまり相性は良くないです。しかしながら、筋持久力が上がることで、中重量中回数トレーニングで完了できる回数が増える可能性もあるため、まるっきり筋肥大に効果がないとも言い切れないでしょう。また、低強度のトレーニングでも、完全にオールアウトするところまで行えば筋肥大の効果が得られるとする報告もあります(5)。