<高校野球>冬の間に人間力向上 北海道・釧路湖陵 センバツ21世紀枠候補
3月23日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場32校が今月25日、選考委員会で決まる。そのうちの3校は、困難条件克服や地域貢献など他校の模範となるべき要素を選考条件に加えた「21世紀枠」で選ばれる。 【写真で振り返る歴代出場校】 ◇秋の道大会で61年ぶり4強に 昨秋の北海道大会で61年ぶりに4強入りした釧路湖陵は、北海道東部沿岸に位置する「霧の街」の釧路市にある。年間約100日に霧が発生し、春や初夏も低温に悩まされる。選手たちは冬場、ビニールハウスの屋内練習場で黙々とバットを振り、体力作りに励んでいる。 1913年創立の同校は毎年100人超の国公立大入学者を輩出する進学校で、野球部員も文武両道を実践する。平日は午後7時半に完全下校となるため、練習時間は約2時間半しかない。限られた時間を有効に使うため、毎週月曜日のミーティングで前週の反省点と今週の重点目標を確認し、効率的な練習のメニューや方法を選手全員で考えている。 進学校らしく、テストで30点未満の赤点を取ると練習に参加させてもらえない。斎藤叡佑(えいすけ)主将(2年)は「野球と勉強、どちらにも力を入れなくてはならないので大変。調整は難しいが、やりがいはある」と強調する。自分で考える「自立」と自分を律する「自律」が不可欠といい、「やらされている野球では、いつか限界がくる」と先を見通す。この冬もビニールハウスでの練習のほか、雪上のグラウンドや校舎内で陸上部の短距離用トレーニングを行い、地道に走力向上に取り組んでいる。 道内主要大会が開かれる札幌市や旭川市までは釧路市から車で5時間近くかかり、同校は天候に加え、立地面のハンディキャップを抱える。その中で85年と87年に夏の甲子園の北北海道大会で決勝に進み、甲子園出場にあと一歩まで迫った。同市からの甲子園出場校は近年では2014年夏の武修館があるが、センバツでは69年の釧路一を最後に途絶えている。 小田聖人監督(37)は「21世紀枠候補校選出は卒業生たちが積み重ねた文武両道という伝統が評価されたもの。冬の間にあいさつや礼儀といった選手たちの人間力の向上に取り組みたい」。半世紀の時を超え、センバツ出場という春の便りが届くことを心待ちにしている。【平山公崇、三沢邦彦】