勝てばプレーオフのBL東京、モウンガ不在の中神戸S撃破なるか?
勝てば、プレーオフトーナメント進出である。1敗で2位をキープする東芝ブレイブルーパス東京は5位コベルコ神戸スティーラーズに勝点16差を付ける。リーグ戦は残り4試合となる『NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24』第13節で両軍は激突。BL東京が神戸Sに勝てば、『NTTリーグワン2022』以来の2年ぶりのPOへ勝ち進むのだ。 【全ての写真】東芝ブレイブルーパス東京&コベルコ神戸スティーラーズの選手たち もともとFWのフィジカルの強さとBKの展開力に定評があったBL東京だが、今季はディフェンスを強化。昨季までは好不調の波があり、爆発力はあるものの大味な乱打戦に陥り、競り負けることが散見した。しかし、今季は自陣ゴール前で粘り強い守備を繰り広げる。さらにニュージーランド代表56キャップのSOリッチー・モウンガが加入し、課題とされたゲームコントロールが逆に武器となった。 パス、キック、ランのどれをとっても一級品の10番は卓越した試合運びを披露。11勝をマークするBL東京だが、7点差以内の勝利は実に半分近い5勝を数える。フィジカル自慢FWにオールブラックス33キャップのFLシャノン・フリゼルが加わり、より強固になった。モウンガとコンビを組むSHでは杉山優平がブレイク。BKも日本代表ジョネ・ナイカブラが離脱中に桑山淳生&森勇登の両WTBが結果を残し、そのナイカブラも前節に復帰。BL東京はいい流れがさらにいい流れを呼ぶ好循環に入っている。 前節も見事な逆転劇だった。4月7日、前半はクボタスピアーズ船橋・東京ベイがペースを掴み、30分を待たずに2トライ1PGを献上。3-13となるも、37分FL伊藤鐘平のラインブレイクから左サイドでボールを受けた森がストップ&ゴーで相手をはがしてそのままトライ、シビアな角度のゴールをモウンガが決めて10-13で折り返した。後半最初のスコアもS東京ベイが奪い10-20となり、その後もBL東京はチャンスを作るも、仕留め切れず。マイボールスクラムやラインアウトをキープできない焦れる展開となったが、BL東京は我慢強く好機を待った。 すると64分に森がこの日2本目のトライをマーク。72分にはインゴールまで残り5mの位置でのマイボールスクラムを押し込んでペナルティを得ると、途中出場のCTBセタ・タマニバルが早いリスタートでインゴールへ侵入。しかし、これはペナルティを得た場所とタップキックした位置が異なるとの判定でノートライとなった。試合終盤のガクッと集中力を切らしてもおかしくない状況にも、BL東京は高い集中力をキープ。79分、インゴールまで残り5m強の位置で再びスクラムでペナルティを誘うと、再びタマニバルが素早いタップキックから相手をなぎ倒してボールを叩き付けた。ノーサイドのホーンが鳴り響く中、モウンガがサヨナラGを決めて22-20。BL東京が劇的逆転勝利を手繰り寄せたのだった。 トッド・ブラックアダーHCが「ものすごい試合だった。激しいプレッシャーにさらされ、特にラインアウトやセットピース、コリジョンでものすごく苦しめられた。だが、選手たちは本当によくやってくれた。苦しい状況でも諦めず、しっかり力を見せてくれた」と選手を称えれば、HO原田衛副将も「前半と後半で違うゲームになった。ラインアウトやスクラムは修正しないといけないが、後半新しい選手がエナジーを入れてくれた。これが今年の東芝の強さだと思う」と胸を張った。 勝てば『NTTリーグワン2023-24』プレーオフトーナメント進出となる大事な神戸S戦ではひとつの関門がある。SOモウンガが家庭の事情でメンバー外となったのだ。4月12日・メディア対応を行った杉山はSO松永拓朗とのコンビでの必勝を誓った。 「前回の神戸戦(第3節・46-39で勝利)でも点の取り合いのような形になったので、お互いのアタッキングをぶつけ合う展開になったが、今回もブレイブルーパスの味を見せられるよう、モウンガが出られない中、松永としっかりコミュニケーションを取って、ブレイブルーパスのアタックを展開したい」 これまでなかなか出場機会を得られなかったが、今季は全12試合に出場し、10試合で9番を背負っている。4年目の手応えについて問われると、杉山はこのように答えた。 「テンポの速いアタックを自分の強みとしている中で、ブレイブルーパスの早くスペースにボールを送るスタイルと自分のスタイルが合った。グラウンド上では僕は常に受け身なので、10番がやりたいこと、やってほしいことを実行することを心掛けている。リッチーとコンビを組む中で、どんどんコミュニケーションが早く飛んでくる。リッチーはとにかくプレーを止めたくない選手なので、ブレイクダウンへ寄るスピードをどれだけ早くできるか、どれだけ汚いブレイクダウンの状況でも早くリッチーにボールを届けるのが僕の役目」 1年下の松永とのコンビネーションは問題ないと杉山は言う。 「拓朗は今日の練習でも自らこうやろうと言っていける選手なので、それをサポートするではないが、しっかり実行したい。そして足りないと思えば、補足していきたい。キックもうまいし、ゲーム理解度も高いし、プレーの質も高い選手なので、僕からどうこうはない」 対戦相手の神戸Sには筑波大学の2年後輩のWTB松永貫汰がいる。 「兄弟両方と一緒にプレーしているが、全然プレースタイルが違う。貫汰はステップやランが中心で、拓朗は10・15番でもあるのでゲーム理解度が高く、周りを使えるのが強み。貫汰は大学時代に比べて、スピードやステップがレベルアップしていて、カウンターアタックで狭いところをどんどん抜けてくるので、気を付けたい」