「痺れ慣れからプレッシャー克服術も出てくるかもしれん」重圧に立ち向かった先に見えたものは?【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集②】
プレッシャーから逃げず、跳び込め<心の巻4>
ーー「痺れるだけ痺れてみるのもひとつの方法や。痺れ慣れからプレッシャー克服術も出てくるかもしれん」 練習場シングルいう人種がいます。ボールを打つ動きはほぼ満点。ところがラウンドしたとたんに練習場での動きの滑らかさが消えてしまうんですね。ラウンドでは、いい球を打ってやろうとか、池を越してクリアしてやろうとか、最終ホール、パーであがれば90の壁が破れるとか意識した瞬間に、体は固まってしまう。よくあることです。 そんなプレッシャーから逃れる術は、練習場のショットのように何も考えず、ひたすらボールを打つことに集中することです。しかし、言うはやすし、人間の欲は実力以上のスコアを望むもんやし、池、OBは怖いもんです。練習場の状態になることはどだい無理のようです。所詮、無理な相談なら、意識すまいとか、プレッシャーから逃れようとかいうのは止めにして、プレッシャーを甘受するようにしたらどうやろか、というのがボクの勧めです。プレッシャーで痺れるだけ痺れてやることです。重圧は逃げようとすればするほど追いかけてきますよ。 ならばこっちからプレッシャーのなかに跳び込んでやろうと。そのとき大事なんはそれで失敗したときに「オレは勝負弱い、情けないやつ」と思わんことです。またプレッシャーに負けたんじゃないと、肩肘張って認めようとしないのも、いつまでも重圧の憑きものが落ちん原因かもしれません。ここは正直にプレッシャーと認めて痺れるだけ痺れてやる。その痺れのなかで経験を繰り返すうちに、痺れ慣れというか、痺れに対処する耐性ができてくるんやないかと思うんです。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班