【バレー】東京GB後藤陸翔が近畿大で着けた背番号「11」の秘話。WD名古屋のあの先輩に「もらったんですよ。ください、って」
学生生活最後の公式戦で後藤が受けたサーブと、中野にかけられた言葉
その1週間後の天皇杯ファイナルラウンド準々決勝。リリーフサーバーで投入された中野は、ターゲットを定めた。ただし、「私情は挟めなかったです。狙いたいのは山々でしたけれど(笑) 劣勢でしたし、チームからの指示も『パイプ攻撃をつぶすように』だったので、あくまでもサイド2人の間を狙いました」。 そのサーブを後藤が拾い上げる。一度はWD名古屋がブレイクしたが、その次のサーブも後藤が拾い、今度は近畿大がサイドアウトを奪った。 ほんのわずかな時間でも。ネットを挟んで2人の思いが交錯した。 「公式戦で、この最高の舞台で後輩と試合ができたのはよかったです。陸翔だけでなく、全員の成長も感じましたから」(中野) 「意地でもレシーブしにいきました。2本ともAパスにできたので。甘い、甘い!! なんてね」(後藤)
試合が終わり、整列が済んだのちに握手を交わす。目に涙を浮かべる後藤に、中野がひと言。 「泣き虫」 辛らつ? 違う、愛情たっぷりの労いの言葉だ。その場面を振り返り、後藤も笑みをこぼす。 「そりゃあ、泣くでしょう~。4年間の最後ですから。でも、楽しかった。きつかったけれど、キャプテンをやれてよかったです」 背番号「11」のユニフォームを着けて戦う日々は、ここに完結した。 後藤は決めている。一枚は自分のものにして、部屋に飾ろう。もう一枚は「まだ誰とも話していないけれど…。2年後に同じ番号を背負うなら、ユニフォームをあげますよ」。 テーピングでキャプテンマークを仕立てる。いつかまた、試合前のロッカールームでそんな風景が見られるときがくるかもしれない。 (文・写真/坂口功将)
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