「座っているだけで動悸がして汗が止まらない…」男性更年期障害と診断された52歳。訪れるのは女性だけではない
女性の閉経前後の更年期症状は広く知られているが、男性にも同様のものが起きることはあまり認知されていない。テストステロンの減少で中高年男性の6人に1人がなるといわれる更年期障害。実際に体験した人たちに話を聞いてみた。「気力がわかない」「カッとなって暴力」etc…。中高年の6人に1人が苦しんでいるという男性更年期障害の実態とは? ⇒【写真】注射でのホルモン補充療法と並行し、塗り薬2種類の塗布や、漢方「桂枝加竜骨牡蠣湯」の服用を継続している
「動悸がして汗が止まらない」
建物設備関連会社に勤務する科野辰也さん(52歳)の例を紹介する。 科野辰也さんが生命の危険を感じるほどの異変を体験したのは5年ほど前の夏だった。 「外出をしていた際、地下鉄の駅構内を歩いていたら、急にチカチカと砂嵐のようなもので視界がシャットダウンしたんです。強烈なめまいに襲われ、立っていることができなくて、その場に30分くらいしゃがみ込んでしまいました。ギリギリ意識はありましたが、『このままぽっくり逝ってしまうんじゃないか』と恐怖でゾッとしました」
24時間襲うめまいと倦怠感
そのときは原因がわからず、「熱中症かもしれないと考えた」という。 しかしそれ以降、激しい胸の痛みやめまい、倦怠感といった症状が、就寝前後や入浴中、仕事中など24時間襲ってくるようになった。 「仕事はデスクワークですが、座っているだけで動悸がして汗が止まらない。寝ている間も滝のように汗をかき、夜中に着替えても、翌朝には絞れるほどの汗をかいていました」
些細なことに対してイライラしてしまう
異常はメンタルにも表れた。本来は凪のように穏やかな性格の科野さんだが、不安定になることが増えたという。 「家族がドアを閉める音がシャクに障ったり、些細なことで不機嫌になっていた。明らかに普段と違う様子に、『イライラしてどうしたの?』と妻から心配されました」 循環器科や脳ドック、心療内科などあらゆる医療機関を転々とし、メンズヘルス外来で男性更年期障害と診断されたのは’22年の11月だった。 「ある朝、会社へ行ったら動悸が強まり、このまま倒れてしまうと思った。限界を感じ、休職することにしました」
更年期障害になるのは女性だけではない
男性更年期障害の診断書を手に上司に説明すると「女性がなるものじゃないの?」と驚かれたという。当初は2週間の休職予定だったが、職場復帰できるまで症状が改善するまで2か月かかった。 「日本では男性の更年期障害はまだメジャーな病気ではないため治療方針があやふやなクリニックが多い。そもそも知らない医師も大勢います。最初に更年期と診断されてから信頼できる医師と出会うまで1か月以上かかりました」 現在は寛解したものの、体調の安定を目指し、徹底したセルフケアに取り組んでいる。 取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 写真/ロストコーナー(PIXTA) ―[本当に怖い[男の更年期障害]]―
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