0-0延長12回バルドナードも大勢も温存で最後を締めたのは救援経験少ない左腕
◆JERA セ・リーグ 広島0―0巨人=延長12回=(19日・マツダスタジアム) 巨人が広島との3連戦初戦を延長12回スコアレスドローで終えた。阿部慎之助監督(45)は「投手陣が頑張ってくれた」と7回無失点だった先発の戸郷翔征投手(24)はもちろん、船迫、西舘ら12回までスコアボードに「0」を並べ続けたリリーフ陣を絶賛。チーム防御率は12球団トップの1・72と投手陣は安定感抜群だけに、6打数無安打だった坂本ら、打線の復調が待たれる。 3時間58分、耐えて粘って守り抜いた。延長12回0―0で引き分け。打線は沈黙したが、敵地マツダの大応援、独特の雰囲気の中、先を見据えて勝ちパターンを一部温存する継投で計6投手の無失点リレー。阿部監督は試合後、開口一番「今日は勝ちました。勝ったね」と勝利に等しい結果と受け止めた。選手、スタッフも「ナイスゲーム! 勝ちと一緒!」と明るくハイタッチを交わした。 先発・戸郷が7回まで力投。8回は高梨、9回は船迫、10回は西舘がゼロに抑えた。この時点でベンチ入りメンバーにはバルドナード、大勢も残っていたが、両投手は使わず、11回はケラー。12回は接戦での救援経験が少ない横川が試合を締めた。「バルちゃんは連投していた(開幕から登板が増えていた)し、上げていた(最初から登板予定なしだった)。明日のことも考えて大勢を残しておきたかった」と明かした。 目の前の一勝を最重要視すれば「勝利の方程式」のバルドナード、大勢を使う必勝継投も可能だった。だが、勝負は夏場以降と考える阿部監督は、シーズン序盤から短期決戦のような継投をする考えはない。基本的に3連投は回避。10回に西舘が登板して18日から2連投となった時点で20日は使えない。同じく18日に登板したバルドナード、大勢も使って連投となれば、西舘同様に20日は使えないため、先を見て我慢した。 攻撃面では開幕から先発出場時は全試合5番だった坂本を今季初の2番に入れた。試合前まで17打席無安打。「ちょっと楽なところでと思って(打順を)上げてみた。考えたのは僕なので」と手を打ったが6打席無安打。「それでも点が入らなかったので僕のせいです。すみません」と自身の采配の責任だと強調した。 試合前のフリー打撃中、阿部監督は坂本に身ぶり手ぶりで打撃の助言をしていた。全幅の信頼を寄せてきた中で、監督になって初とも言える坂本への熱血指導だった。「今が一番悪いから。経験もあるし、今よりひどくなることはないと思うので、開き直ってやってもらえればいい」。打線は甲子園の阪神3連戦を含めて今週4試合で2得点と深刻だが、「0点に抑えれば負けない」と掲げてきた通り、12球団トップのチーム防御率1・72を支える投手陣の奮起で2敗2分け。貯金2の2位は御の字だろう。 「とにかくピッチャー陣が今日は頑張ってくれたので、それに尽きる」。バントミスなど細かいミスもあり勝てなかったが、負けなかった。価値ある引き分けを再上昇のきっかけにしたい。(片岡 優帆)
報知新聞社