【登場が噂されるジムニー5ドア! ライバルはこれだ】(3)三菱デリカミニ:ライトなアウトドアレジャーでは強力な対抗馬となる軽ハイトワゴン
三菱・デリカミニとスズキ・ジムニーの違い
日本導入が噂されているスズキ ジムニー5ドアは、高い悪路走破性能を誇るジムニーのボディを延長して後席の快適性と荷室空間を拡大した小型のSUVだ。ホイールベースを340mm延長することで、ジムニーの欠点であったスペースユーティリティが大幅に改善される。 【関連画像】ジムニー5ドアの対地障害角図 対する三菱デリカミニは、もともと広い室内空間と便利なパワースライドドアを持つ三菱ekクロス スペースに、オフロード走行に適した外観と性能を付与したクルマとなる。 なかでも4WDモデルには専用サイズのタイヤとともに、実際にオフロードコースを走行してセッティングが煮詰められたショックアブソーバーが装着される。 加えて両車ともに、タイヤが空転した際にブレーキを独立制御して空転を抑えるグリップコントロールや、急な上り坂を下り坂の走行をサポートするヒルスタートアシストやヒルディセントコントロールなどの車両制御機能が搭載される。 こうした車両制御や足回りのセッティングは確かに悪路走破性能の向上に寄与するが、それ以上に優先されるのはグラウンドクリアランスの確保だ。 ホイールベースが延長されるジムニー5ドアは、3ドアのジムニー比べてグランドクリアランスが低下することになる。軽ハイトワゴンをSUV風に仕立てたデリカミニとはいえ、ベースとなるekクロス スペースはオフロード向きのクルマではない。 ジムニー5ドアとデリカミニの悪路走破性能はどれくらい違うのだろうか。それぞれのクルマの下回り形状に注目して比較してみよう。
対地障害角からデリカミニとジムニー5ドアとオフロード性能を比較
車体下回りの形状が悪路走破性におよぼす影響は「対地障害角」と呼ばれる以下の3つの数値で表され、これらの数値は車体全長とホイールベース、最低地上高の寸法に加え、バンパー形状などによっても変動する。 アプローチアングル: 前輪の接地点とフロントバンパーの下面先端を結んだ線の対地角度デパーチャーアングル: 後輪の接地点とリアバンパーの下面先端を結んだ線の対地角度ランプブレークオーバーアングル: 前後輪それぞれの接地点とホイールベースの中心を結んだ線が交差する角度 アプローチアングルとデパーチャーアングルは、平地から急傾斜を差し掛かる際、あるいは急傾斜から平地へ差し掛かる際に注目される指標だ。ランプブレークオーバーアングルが大きいほど凸部を乗り越える際にボディが腹づきしにくくなる。 両車の対地障害角を含むスペックは以下のようになる。 デパーチャーアングルはどちらも同じくらいの数値になる。しかも、この数値はオフロードカー全体のなかでもトップクラスだ。 ただし、車体の四隅にタイヤが配置される軽自動車はリアオーバーハングが短くなるため、自然と優れた数値になることは付け加えておこう。 アプローチアングルとランプブレークオーバーアングルは、ジムニー5ドアに対してデリカミニが大きく劣っている。これは車体下面の形状と最低地上高が影響している。 最低地上高を高くすれば、すべての対地障害角が向上する。しかし、車高を上げ過ぎると今度は車体重心が上がり横転しやすくなってしまう。 もともと背高なうえ車幅も狭いデリカミニは車高を上げると高速走行時の安定性も低下するため、160mmの最低地上高は妥当な数値と言えるだろう。 ちなみに、最低地上高185mmある三菱デリカD:5の対地障害角はアプローチアングルが21度、デパーチャーアングルは23度、ランプブレークオーバーアングルが16.5度だ。悪路走行を想定していないクルマは、それぞれの角度がいずれも15度前後になる。 ジムニー5ドアは、ホイールベースが延長されたことでランプブレークオーバーアングルがわずかに悪化しているが、それでもデリカミニはおろかデリカD:5よりも悪路走破性能が高いことがわかる。 デリカミニは本格オフロードカーのジムニーに劣るとはいえ、一般的な乗用車に比べれば遥かに優れた対地障害角が与えられている。日常で遭遇しうる悪路で困ることはないはずだ。