「伝えられるものはたくさんある」 神戸から加入、元日本代表・山口蛍 V長崎の大型補強
V・ファーレン長崎は今オフ、大型補強に打って出た。中でもサプライズとなったのが、J1神戸の主将として2023、24年シーズンのリーグ連覇に貢献したMF山口蛍(34)の加入。国内タイトルを6度獲得し、ワールドカップ(W杯)にも2度出場した中盤の名手は「伝えられるものはたくさんある」と頼もしい。 チャンピオンクラブで腕章を巻き、ピッチ内外でキャプテンシーを発揮し続けた男が、なぜ突然長崎のJ2クラブに来る決断をしたのか。そこには、6年間在籍した神戸で数々の栄冠を手にしたからこその理由がある。 「天皇杯(19、24年)を取って、リーグで2連覇して。年齢も34。じゃあこの先、自分は何を求めてやっていくのか」 新たなモチベーションを見いだそうとしている矢先、優勝直後に声をかけてきたのがV長崎だったという。 そのころV長崎は圧倒的な攻撃力を有しながら、あと一歩でJ1自動昇格を逃し、昇格プレーオフにも敗れる悔しさを味わっていた。まるで欧州リーグのような、臨場感あふれる新スタジアムが完成したことも山口の耳に入っていた。 「僕はJ2で3年間やっていたけれど、優勝したことがない。注目されているクラブで何ができるのか」。もう一度、新しい環境に身を置きたくなった。C大阪でつかんだJ1昇格、W杯で味わった悔しさ、そして神戸での優勝。数々の修羅場をくぐり抜け、結果につなげてきた経験をきっと「クラブにもたらせる」。昇格に必要な「あと一歩」を示せる。そんな思いに駆られ、オファーを快諾した。 自らを「技術で勝負するタイプではない」と評する。鋭い危機察知能力でボールを奪い、確かな戦術眼で試合を支配するクレバーなボランチだ。昨年、失点がかさんだV長崎に足りなかった守備的MFとも言える。 34歳は今季のチーム最年長となる見込み。長崎の新しい顔は「2位ではなく、しっかり優勝でJ1に昇格したい」と次なるゴールを明確に見定めている。