『アナ雪2』世界的には「前作超え大ヒット」だが 日本の興収「ほぼ半減」だった理由は?
日本でも出だしは前作越えだったが
2024年12月6日の「金曜ロードショー」で『アナと雪の女王2』が放送されます。言わずと知れた前作『アナ雪』は全世界で12.85億ドルの興行収入を達成し、『アナ雪2』はそれを上回る14.5億ドルを記録して、現在はアニメ映画史上第3位の興行収入となっています。 【画像】え…っ? 「続編あるの?」 こちらが『アナ雪3』コンセプトアートに「アナとエルサ以外」に描かれていた重要キャラ(?)です 一方、日本では前作『アナ雪』は社会現象となり最終興行収入254.7億円のメガヒットを遂げ、『アナ雪2』は初週末の土日2日間で前作比211.7%の成績でスタートしたものの、最終興行収入は前作の半分強の133.6億円となりました。 そもそも日本で海外のアニメ映画が250億円を超えることは、後にも先にもない異次元の記録であり、その続編での130億円超えももちろん大記録であることを前提として、なぜ「日本のみ」続編の興行収入がほぼ半減してしまったのでしょうか。主に3つのポイントから考えてみましょう。 ●1:さすがに1作目の楽曲のキャッチーさにはかなわない 前作『アナ雪』が日本で(もちろん世界中でも)メガヒットとなった最大の理由は、「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」を筆頭とする楽曲のクオリティーにあると断言します。その「レット・イット・ゴー」の歌唱シーンがフルコーラスで流れる予告編にも、絶大なインパクトがありました。 さらには「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」も、一度聴けば忘れられないキャッチーさであり、本編での楽曲と物語の相乗効果、さらにはBGMやエンドロールで「リプライズ」として流れることも含めて、楽曲の「強さ」があったのです。 もちろん、『アナ雪2』でも、「イントゥ・ジ・アンノウン」や「ずっとかわらないもの」などエモーショナルかつメロディアスな楽曲が複数用意され、物語との相乗効果やリプライズの演出も受け継がれており、もちろん世界最高峰のクオリティーです。 しかし、その親しみやすさやインパクトは、楽曲そのものが社会現象となった「レット・イット・ゴー」に比べると、さすがに後退している印象があります(クリストフの歌う「恋の迷い子」は、「ボヘミアン・ラプソディ」のミュージックビデオのパロディもあり衝撃的ですが)。 さらに、『アナ雪2』の物語はエルサとアナのアイデンティや、ルーツに迫る内容かつ設定の説明が多くなった印象があり、過去のディズニー作品や元のアンデルセンの童話を相対化しつつもシンプルな作劇だった1作目に比べ、やや複雑で難解になった印象がありました。それも「分かりやすさ」を好む、日本の観客を少し遠ざけた理由になっていたのかもしれません。