宮崎・日向灘地震は《300年越しの大異変》と合致か…「南海トラフはいつ動いてもおかしくない」専門家が警告
「30年以内に70%以上の確率で起きる」そう言われ始めて、何年が経っただろうか。今年、日本を繰り返し襲う揺れは、80年の沈黙を破り、ついに訪れようとしている「本震」の前触れかもしれない。 【図表】「外観」ですぐわかる? すぐにできる「マイホーム」耐震診断はこちら!
立て続けに起こる異変
〈朝より風少しも吹かず、一天晴れ渡りて雲見えず、その暑きこと極暑の如く、未ノ刻ばかり、東南の方おびただしく鳴りて、大地ふるひいづ〉 これは、日本史上最悪の震災「宝永地震」当日のようすを記した、土佐の古文書『萬變記』の一節だ。未曾有の揺れが襲った1707年10月4日(新暦10月28日)の昼下がり、列島は晩秋とは思えぬ暑さに見舞われていた。 宝永地震の推定規模は、M8・6。南海トラフ全域が破壊され、プレートが大きく動く「全割れ」だったとみられる。地震発生から49日後の同年末には、富士山が大噴火を起こした。 それから三百余年が経った猛暑の今年も、異変が相次いでいる。元日の能登半島地震、さらに8月上旬に続けて発生したM7・1の九州・日向灘地震と、M5・3の神奈川での地震――。 南海トラフ大地震は有史以来、わかっているものだけで13回。そのうち、詳しい記録が残されるようになった近世以降には、やはり直前に、全国の広範囲でM5~7クラスの揺れが次々と起きている。ちなみに宝永地震の4年前、1703年には小田原、川崎などを壊滅させたM8・2の「元禄地震」も発生した。
先触れはすでに起きている
地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。 「過去の南海トラフ大地震では、発生の20~30年ほど前から、とくに西日本で直下型地震が頻発する傾向がみられます。1944年・46年の『昭和東南海地震』と『昭和南海地震』の前には、1925年・27年に兵庫と京都の北部で、また、1943年に鳥取で、M7クラスの直下型地震がありました。 今年の能登半島地震だけでなく、'95年の阪神淡路大震災、'04年の新潟県中越地震、'16年の熊本地震といった平成のM7クラスの直下型大地震も、南海トラフ大地震が起きれば、その先触れだったと言われるようになるかもしれません」 日向灘地震のあった8月8日の夜には、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意」を発表し、「1週間程度、最大震度6弱程度の地震に注意してください」と呼びかけた。 これを受けて、太平洋岸の和歌山や三重、高知などでは海水浴場の閉鎖、鉄道の運休、宿泊施設のキャンセル多発といった混乱が生じた。せっかくのお盆休みに、なにもそこまでしなくても……と、感じた人も多かったかもしれない。