Cygamesの新作家庭用ゲームが集結 『コンシューマーゲーム試遊祭 2023』レポ
スマートフォンで誰でも気軽に楽しむことができる「スマホアプリゲーム」。 無料でダウンロードでき、無課金でもそれなりに遊べるタイトルが増え、アプリゲームは世の中に広く普及している。 【写真】『Cygamesコンシューマーゲーム試遊祭 2023』の様子 そんななか、『ウマ娘 プリティーダービー』『グランブルーファンタジー』『シャドウバース』などのゲームのヒットメーカーで知られるCygamesが、コンシューマータイトルの4作品を引っ提げ『Cygamesコンシューマーゲーム試遊祭 2023』を開催した。 本稿では、出展された4タイトルのゲームの紹介とあわせて、Cygamesのコンシューマー事業への本気度を探っていく。 ■『Cygamesコンシューマーゲーム試遊祭 2023』とは 『Cygamesコンシューマーゲーム試遊祭 2023』とは、東京・秋葉原のベルサール秋葉原にて、11月3日に開催された同社コンシューマータイトルの試遊イベントだ。 本イベントでは、開発中の『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』『GRANBLUE FANTASY: Relink』『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』に加え、発売中の『リトル ノア 楽園の後継者』の4タイトルを試遊できた。 また、当日は試遊だけなく、豪華景品が当たる抽選会や、『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』のクリエイティブディレクターとの対戦会も実施された。 会場であるベルサール秋葉原は、多くの人で賑わう秋葉原の電気街に位置していることもあり、ゲームファンのみならず、海外からの観光客や買い物ついでに立ち寄る来場者も散見された。 ■出展タイトル4つを紹介 試遊祭では、開発中の3タイトル、そして発売中の1タイトルを体験することができた。それぞれのタイトルの概要や、ブースを回って得た気づきをまとめていく。 ●グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング- 『グランブルーファンタジー』はロールプレイングゲームとして知られるが、『グランブルーファンタジー ヴァーサス』(以下、GBVS)は、グランブルーファンタジーの人気キャラクターたちによる対戦格闘ゲームである。 『GBVSR』は、そんな『GBVS』シリーズの最新作だ。 試遊ブースの隣では、本作のクリエイティブディレクターである福原哲也氏と来場者との対戦会も行われており、多くの観客で賑わっていた。 『GBVSR』は、格闘ゲームとしてのバトル部分が大きく変更された。また、コメントはフルボイスであり、試合の内容によって変化するため、グラブルファンにはたまらない仕様となっている。また、新たなプレイアブルキャラクターとして「ジークフリート」「グリームニル」など、グラブルシリーズの人気キャラクターが参戦することも決定している。 試遊を楽しむプレイヤーたちの手つきは手慣れており、グラブルファンのみならず、格ゲーファンからも注目を集めているようだった。 試遊ブースのスタッフいわく、マイコントローラーを持ってきたり、ボタンの設定を自身で調整する猛者もいたとのこと。 ●GRANBLUE FANTASY: Relink グラブルシリーズからはもう1タイトル、『GRANBLUE FANTASY: Relink』の出展があった。本作は、スマートフォン向けRPG『グランブルーファンタジー』を題材にした3DアクションRPGだ。 2024年2月1日に発売が予定されている本作は、ゲームのクオリティ改良のためたび重なる発売延期を経てきたが、たしかにゲーム画面のグラフィックの美しさにも妥協はない。 グラブルはイラストの美しさが人気のタイトルだが、本作ではキャラクターが3Dで表現されるということで、これまで以上にキャラクターの魅せ方に強いこだわりを感じた。 会場には、「Collector’s Edition」版を購入することで手に入れられるフィギュアやメタルチャームも展示されていた。 原作『グランブルーファンタジー』は、今年登録者数が3600万人を突破した人気タイトルではあるが、『GRANBLUE FANTASY: Relink』では既存のファンにとどまらず、新規ユーザーに対してもアプローチしていると見られる。 ●ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭! 今回、4タイトルの中で一際注目を集めていたのが、この「ウマ娘 プリティーダービー」のタイトルである。 「ウマ娘 プリティーダービー」と言えば、サイゲームスが展開するクロスメディアコンテンツであり、発表以来、ゲームやアニメ、音楽やコミカライズなど、さまざまなジャンルで作品展開を行ってる作品である。 配信中のゲームは、トレーナーとしてウマ娘の育成を楽しむ育成シミュレーションゲームだが、今回のコンシューマーゲームは、レースタイプのゲームとなっている。 本作は『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するウマ娘たちが、春のファン大感謝祭で行われる特別イベント「ハチャメチャGP(グランプリ)」を舞台に、全4種目の競技を4チームで競うというもの。プレイヤー人数は最大4人で、オンラインプレイにも対応している。 本試遊会でプレイできたのは、その内の1種目である「ファン大感謝祭 大障害」という障害レースであった。レース中、プレイヤーは方向キーを使用して4つのレーンを自由に行き来し、ハードルなどの障害物を巧みに避けたり、アイテムを集めるために特定のレーンに移動したりしながら前進していく。 操作には、障害物をジャンプで回避することや、集めたさまざまなアイテムを使用して対戦相手の進行を妨害するなどのアクションが含まれる。操作やルールも単純なので、誰でも楽しみやすいカジュアルアクションゲームとなっている。 取材時の試遊の待ち時間はなんと180分。常に長蛇の列が途切れることはなく、ウマ娘のTシャツを着用したり、グッズを身につけているファンであふれていた。 ブースにいた母娘の2人組からは興味深い話を聞けた。娘さんはアニメからウマ娘のファンになったとのことだが、まだ幼いがゆえに配信中のゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』はシミュレーションゲームということもあって少し難しかったそうだ。 一方、本作の「ファン大感謝祭 大障害」はレース中にボタンを押す直感的なゲームなので、「娘でも遊べるようになっている」とのことだった。 ウマ娘は、そのキャラクターの可愛さも相まって、アニメや漫画から入ったライト層も多いコンテンツである。本作は配信中のゲームよりも、大衆向けなゲームシステムとなっているので、より幅広い層にもリーチするのではないだろうか。 ●リトル ノア 楽園の後継者 『リトル ノア 楽園の後継者』は、今回出展の4タイトルで唯一の現在発売中のゲームである。 4タイトルのなかでは、列の長さは比較的短めではあったが、それでも常に約1時間待ちと大盛況だった。 本作は、謎の古代遺跡に足を踏み入れた練精術師の少女ノアとなり、錬金術で生み出される「アストラル」たちとともにダンジョンを攻略していく、横スクロールのローグライトアクションゲームだ。 最大の特徴は、アストラルを使ってコンボを生み出す攻撃システムである。アストラルは探検中に仲間にすることができるキャラクターであり、通常攻撃であるアタックに5体、特殊攻撃であるスキルに2体まで自由に割り当てられる。 入手できるアストラルは40種以上あり、プレイヤーはこれらを組み合わせてオリジナルコンボが編み出せる。 操作も難しくなく、誰でも気軽に遊べるうえに、オリジナルコンボのシステムがあるのでやり込み要素も強い。 ■イベントから見えた“Cygamesの本気” ここからは今回の取材で筆者が感じた、Cygamesのコンシューマータイトルへの本気度について記述する。 ●自社のビジョン「最高のコンテンツを作る会社」の達成 「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンを掲げているCygamesはコンテンツ作りにおいて妥協しないことで知られており、大成功をおさめた『ウマ娘』の「開発期間の大幅延長」はゲームファンの間では有名な話だ。 今回出展したコンシューマーゲームのひとつ『GRANBLUE FANTASY: Relink』は、7年の開発期間をかけているそうで、コンシューマーゲームにおいても同社のスタンスは変わらないことがわかる。 「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンのもと、高品質なアプリゲームやアニメ、コミックなど幅広いエンターテインメントを創出しているCygamesにとって、高品質なコンシューマーゲームの開発にも注力しているのは、いわば必然ともいえるのだろう。 さらに言えば、プラットフォームの普及度も相まって、海外にも同時展開されるコンシューマーゲームは、成長する海外市場を鑑みると利点といえるのかもしれない。 ■さいごに ゲーム市場は海外マーケットの拡大、PCゲームの成長など、新たな時代を迎えている。 世間ではまだCygamesがコンシューマーゲームを出していることの認知が薄い節もあるが、いざ取材をしてみると、Cygamesは本気でコンシューマーゲームにも注力しており、地に足をつけた長期的なビジョンを描いている様子だった。 必要とされているタイミングで、必要とされているコンテンツを最高の状態で提供する。 コンシューマーゲームという戦場でも、「最高のコンテンツを作る会社」は変わらない。
小川翔太