支える人/上 三好明彦部長(53) 「いつか指導を」夢実現 温かく選手見守る /香川
<第91回選抜高校野球> 裏方を自認し、選手や長尾健司監督を支える。昨秋の四国大会準決勝に勝利した後はベンチ前で人目もはばからず、涙をみせた。「選手の頑張りが報われて、うれしさよりほっとした」 高松市出身。進学した兵庫県の滝川高校で野球部に入部するつもりだったが、レベルの高さから断念。それでも「野球に携わりたい」との思いは消えなかった。明治大を卒業後、神奈川県で教職に就いた。副部長を務めた横浜商時代は、現在プロ野球中日に所属する松坂大輔投手擁する横浜に勝利した。「松坂は高校時代、公式戦で1回しか負け投手になっていない。その唯一の試合に立ち会えたのが一番の思い出」という。 小中学生の頃は高松商を応援するために甲子園にも駆けつけたといい、「いつかは高松商で指導したい」という思いがあった。第88回大会で準優勝した直後の2016年4月から副部長として赴任、17年からは部長として支える。「今のチームは長尾監督の指導がしっかり浸透しているようにみえる」。助言を聞き入れる素直さがあり、周りから応援されるなど人間性も優れた選手がそろっているという。 普段はグラウンドへ出て指導することはほとんど無いが、選手への気遣いは欠かさない。「高松商はメンバーから漏れる選手の方が多い。だから全体を見てフォローするのが自分の役目」と結果が出ていない選手らに声をかける。「野球を通じて社会に通用する人間になってほしい。頭ごなしに言うのではなく、3年間を通して自分で理解して成長してほしい」と願う。 長尾監督以外は、自身も含めて初の甲子園に臨む高松商。「選手が試合に集中できるような環境を作ってあげたい」と語る。【潟見雄大】 ◇ センバツへ向けて練習に励む選手を支える人を3回に分けて紹介します。