取り回しの良さとパワフルさを両立 日本HPのフラッグシップマシン『Omnibook Ultra flip 14 AI PC』をレビュー
日本HPが2024年10月に発売した『Omnibook Ultra flip 14 AI PC』はタブレットとしてもコンピュータとしても使える2in1スタイルのノートブック。「インテルCore Ultraプロセッサー」シリーズ2(Lunar Lake)を搭載しており、AIを使った初作業にも快適に使えるスペックである。今回、レビューで試用したのは日本HPが「パフォーマンスモデル」とうたうモデルだ。 【画像】軽量・長時間駆動でコンパチブルに使えので使い勝手は抜群 近年のノートブックは小型軽量ながらパワフルだ。日本HPの『Omnibook Ultra flip 14 AI PC』もその例に漏れず、最新プロセッサと大容量の32GBメモリを搭載しつつも約1.34キロと軽量。2880×1800ピクセルのOLEDはP3色域を100%表示可能とあって発色もよい。 スピーカーは4基搭載・タッチペンも付属と、クリエイティブな用途にも相性は良好。バッテリ駆動時間は最大20時間ということで、家での制作のメインマシンとして活用しつつ、どこにでも持ち出してクリエイティビティを発揮できる。 手に取ってみると金属の質感はなかなか高級。USB-C(Tunderbolt 4)ポートが本体のカドにあるのもユニークだ。HPの中~上位機種にのみ付与される直線的なブランドロゴもクール。ところで下位製品と上位製品でブランド名や色が変わることはままあるが、ロゴが変わるというのはなかなか思い切った判断だと思う。 タッチペンはプラスチック製だが本体のカラーとトーンが合っており、安っぽさは感じない。本体をスライドするとUSB-Cポートが現れるので、ここから充電するスタイルだ。ワイヤレス充電などには対応していないものの、軽やかさとのトレードオフだろう。 ただ、タッチペンには「2H」「2B」と硬さの違う2種類の替芯が付属しておりこちらは親切なのだが、元々本体に付いている芯の硬さは説明書にもとくに書いていなかったためわからなかった。どこかに記載があるのだろうか? この辺が分かりやすいとより使い勝手は増すだろう。 左利きの筆者としては、一番取りにくい場所にペンが鎮座している……というのは左利きの嘆き。ペンを画面上部に、欲を言えばペン先を右向きに取り付けられると嬉しい。PCメーカーさん、ぜひユニバーサルデザインについてご検討ください。 画面をフリップするとタブレットとして使用可能。また、ヒンジは無段階で角度調節できるため、本記事冒頭の写真のように山型に立てて置くこともできる。ただし側面にゴム足などはないためわりと滑りやすいのには注意したい。ちなみにWindowsはタブレット・PCいずれのハードウェアでも実行可能なOSであり、こうした2in1で使うとWindowsの操作性がどんどん洗練されていることを感じる。 「インテルCore Ultraプロセッサ」にはCPU・GPUに加わった新たなユニットとして、「NPU(Neural network Processing Unit )」が搭載されている。これはAI処理に最適化されたユニットで、これによりパワフルな処理能力と低消費電力を実現した。高速なNPUを搭載した本機は、"高度なAI技術を使用した次世代のPC"としてMicrosoftが定義した「Copilot+PC」の要件も満たしている。 とはいえ、NPUを活用するソフトウェアはまだ少数。先月にはアドビの動画編集ソフト「Adobe Premiere」がNPUへ対応した。今後も画像・動画・音声などの編集においてソフトウェアが段階的にNPUへ対応していくと思われる。 プロユースのスペックをギュっと小さくまとめた機種であり、様々なクリエイティブに活用できるのはもちろん、高品質なOLEDでコンテンツを楽しむにも最適な1台だ。製作の最前線から週末のベッドサイドまで、活躍する場を選ばない機種であると感じた。なお、せっかく本体が小さいのだから、ACアダプターがあとひと回り小さくなると嬉しい。ポテンシャルを秘めてるだけに、色々と欲が出てしまう。そんなマシンであった。
白石倖介