[山口県]乗り場の案内表示どこ!? 昨年建て替えた防府・富海駅、観光客ら困惑 市とJR対応協議へ
防府市が地域交流スペースとして建て替え昨年末に供用を始めた同市富海のJR山陽線富海駅に乗り場の案内表示がなく、観光などで訪れた人から「どのホームで列車に乗ればいいのか分からない」などと困惑の声が相次いでいる。市はJRと早急に対応を協議するとしている。 【写真】富海駅の隣駅の戸田駅に設置されている乗り場案内の表示板=周南市戸田 JR西日本中国統括本部によると、富海駅は山陽鉄道が徳山駅から三田尻駅(現防府駅)まで延伸された1898年3月に開業。旧駅舎は開業当時の建物で、老朽化に伴いJRが解体した。市が地元の要望を受け、跡地に新しい駅舎を整備した。 新しい駅舎は旧駅舎の面影を残す白い壁と、駅前の青い海をイメージした屋根が特徴の鉄骨造り平屋で、観光パンフレットなどが並ぶスタンドや地元の小中学生の作品などを展示する掲示ボード、ベンチなどを備えている。 ICOCAなどの交通系ICカードに対応した自動改札機と自動券売機、インターホン、列車の近接を知らせる装置はJRが設置した。しかし、旧駅舎にあった主な駅方面と共に下り列車、上り列車の乗り場を知らせる案内板は設置されなかった。地元以外の利用客は、駅舎と同じホームか、こ線橋を渡った反対側のホームで列車を待つかで迷うとみられる。取材で訪れた際、一度改札を通ってホームに出た女性が「広島方面の乗り場はどっちですか」と慌てた様子で尋ねてきた。乗り場案内表示がないため、全く分からなかったという。 JR関係者によると、乗り場案内など駅の表示板は色や字体などに決まりがあるため、鉄道事業者が設置するのが一般的だという。池田豊市長は山口新聞の取材に「早急にJRと協議する」と述べた。 富海駅は、歌手の南沙織さんや森高千里さんが歌った「17才」の歌詞で「誰もいない海」の舞台となった富海海水浴場の近くにある。駅前は旧山陽道で、初代内閣総理大臣を務めた伊藤博文が井上馨と共に英国から帰国した際に上陸した地を示す石碑などの史跡、市内最高峰の大平山の登山口などがあり、観光シーズンには列車を利用して訪れる人が見られる。