「出口が見えない」ワカサギ採卵数が激減 数十億粒が172万粒、過去最低に 長野県の産地、漁獲量減に危機感
諏訪湖漁業協同組合(長野県諏訪市)は24日、本年度の総代会を長野県諏訪市で開き、産卵のために流入河川に遡(そ)上したワカサギから採った今年の卵は、昨年の5千万粒から大きく減り過去最低の172万粒になったと報告した。同漁協は遡上数の減少と降雨による増水などによって採卵用のワカサギの捕獲数が減ったことが原因とみており、湖の環境の変化や漁獲量の減少に危機感を強めている。 【写真】今年生まれたワカサギ
漁協は例年3月上旬~5月上旬に遡上したワカサギを砥川(下諏訪町)などの河口で捕獲して卵を採取しているが、ここ数年は時期の遅れや短縮がみられ、採卵量は少ない傾向が続いている。昨年は採卵のためワカサギ271・9キロを捕獲したが、今年は4月上旬から中旬にかけて、42・8キロにとどまり、過去最低となった。採卵に携わる漁師らの高齢化で採卵箇所を減らしたことも一因という。
漁協によると採卵数はかつて数十億粒に上り、全国の湖に出荷、大きな収入源にもなっていた。しかし、昨年は5千万粒にとどまり出荷を断念。今季も県外の複数漁協から問い合わせがあったが、諏訪湖への放流量を確保するために出荷は中止した。今季は野尻湖漁協(信濃町)から購入した5千万粒と172万粒をふ化させて諏訪湖に放流した。
藤森恵吉組合長(73)=諏訪市=は「出口が見えない状態が続いている」と指摘。「採卵の担い手を増やしたり、研究機関と協力したりしながらワカサギや諏訪湖の生物を増やしたい」と話していた。
総代会では2023年度の決算が254万円の赤字になったと報告。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ釣り客が回復し、遊漁証販売が好調だったことなどから赤字額が781万円だった前年度より改善した。