EU、首脳人事巡る合意持ち越し-首脳会議を前に話し合い継続へ
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)は17日、ブリュッセルで加盟27カ国首脳による非公式会合を開いたが、EU首脳人事に関する合意には至らなかった。
EUは、欧州委員会委員長に現職のフォンデアライエン氏、EU大統領(欧州理事会常任議長)にポルトガルのコスタ元首相、EU外交安全保障上級代表にエストニアのカラス首相をそれぞれ充てる方針だったが、数時間の非公式協議の結果、合意を持ち越した。今後、6月27、28日にかけて行われる首脳会議を前に話し合いが続けられるが、この3人が最有力候補であることに変わりはない。
会合後、ミシェルEU大統領は、意思決定プロセスの「重要な要素」である意見交換を行ったと述べた。ミシェル氏は「今日の目的は決定を下すことではないことは最初から明らかだった。6月末までに決断を下すことは、集団的な義務だ」と話した。
ただ、交渉の長期化は、ドイツとフランスという二つの大国が国内での主導権にも不安を抱えている今、EUのリーダーシップをめぐる不確実性をあおることになる。
今月6-9日に行われた欧州議会選挙では、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相が率いる与党がそれぞれ惨敗し、仏大統領は6月末に国民議会(下院)の総選挙を行うことになった。EUの一部加盟国は、フランスの政治的混乱で、共同軍事支出やウクライナ支援の新たな推進といった構想が道半ばに陥るとの懸念を強めている。
マクロン氏は会合後、合意までは「それほど遠くない」と述べた。オランダのルッテ首相は、EUの意思決定は常に異なる方向に進む可能性があるが、現在のプロセスは、「どう転ぶかわからなかった」過去のものとは異なり、「より明確になっている」と述べた。
首脳人事を巡る停滞は、ウクライナへの支援の維持や国防費の増額に苦慮し、米国でトランプ前大統領がホワイトハウス返り咲きを果たす可能性に備えているEUにとって、大きな代償となり得る。EUは、中国との新たな貿易摩擦の渦中にもある。中国は17日、EUからの豚肉輸入に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始し、緊張を高めた。