オフトレイル、セオリー破りの破天荒Vに鞍上の田辺「普通は考えられない」吉村師も驚き【ラジオNIKKEI賞】
◇30日 第73回ラジオNIKKEI賞(G3・福島・芝1800メートル) 6番人気のオフトレイルが最後方追走から直線で大外一気を決めた。田辺裕信騎手(40)=美浦・フリー=は2019年のブレイキングドーンに次ぐ同レース2勝目。吉村圭司調教師(52)=栗東=は初勝利となった。 小回り福島開幕週の真緑色の馬場の大外から、次元の違う末脚が飛んできた。4コーナーで最後方にいたオフトレイルが馬群を一のみ。先に抜け出していたシリウスコルトをきっちり頭差とらえた。セオリー完全無視の追い込み一気で、英国産の鹿毛が重賞初制覇だ。 地元の英雄、田辺の開幕週重賞勝利にウイナーズサークルも沸いた。「開幕週なのに後ろから一気。普通は考えられないことをしてくれました。直線ゴーサインを出した時には届くかなという反応でしたね。先行する馬が多そうで、位置はみんながいく後ろくらいと思っていたんですが、思いのほかスタートがうまくいかなくて。たまには、事前に話したことに逆らってみるのもいいのかもしれませんね」。半分はリップサービスに違いないが、セオリー破りの破天荒な勝ち方だったのは誇張でも何でもない。 吉村師も驚きを隠さない。「ゲート内で前かきしていたみたい。枠も内めだったから極端な後ろは避けてほしいと話していたんだけど、まずいなと思って見ていました。ただ、1000メートル(通過が)58秒4。そこそこにはと。けれど、うまくいく時はいくものですね」。近走は好位からそつのない競馬で上位安定という脚質だったが、これで新たな武器も手に入れた。 夏はひとまず休んで秋に備える。トレーナーは「実が入ってきている感じはありましたし、使うごとしっかりしてきた。海外の血統ですし、成長してくれますよ。ジョッキーもマイルとか、それ以下の感じはないと。父も中距離馬ですし、マイルから中距離くらいかな?」と今後を見通した。ハンデ重賞といっても56キロは背負わされた方。そしてこの勝ちっぷり。秋の中距離戦線が楽しみになる。
中日スポーツ