世界遺産追加登録「熊野古道」5ルートを歩く
クツ底に落ちた枯れ葉や土がなじむ
「潮見峠越」は田辺市街から太平洋まで絶景を望める。潮見峠越の入口に立つ高さ約20m、周囲約 6mの大木「捻木(ねじき)ノ杉」は、熊野参詣者の目印であったと言われており、この長尾坂~潮見峠越は南北朝時代に熊野三山を目指すメインコースとなっていたという。 これらの新ルートは約10キロ。歩けば歩くほど、クツ底に落ちた枯れ葉や土がなじむ。汗も流れてくる。同じように古道を歩く外国人の姿も…。よくこれほどの険しい道を昔の人は歩いていたなと感慨深いものがあった。 今回は、“田辺市語り部”であるガイド団体等連絡協議会会長・宇井正さんが、一部ルートを同行となり、藤原定家の歌碑についての説明や様々な伝説についても解説をしてくれた。いっそう熊野の歴史がわかり、人々の祈りによって支えられた熊野信仰とこの地に残る伝説についての知識が深められた。 「闘鶏神社は市街地にあるので、大きなインパクトになると思っています。ここを拠点に長く滞在して欲しいです。紀伊田辺駅前には味光路と言って、飲食街もたくさんあります。ぶらっと入って頂くのもいいでしょう。もちろん熊野古道はできるだけ歩いて楽しんで頂きたい。最近は欧米の方の観光客が多く、欧米の方は歩くのが好きなようです。今後もいろんな情報を発信していきます」(田辺市観光振興課、小川雅則課長) 市街地周辺の南方熊楠翁ゆかりの地を巡るツアーなどもあれば、12月から仙人風呂と言って、大塔川をせきとめた野趣あふれる大露天風呂(川底からお湯がわく)が公開されるなど、楽しみも増えると言える。詳しくは田辺市の公式サイトで。 (文責/フリーライター・北代靖典)