大河ドラマ「光る君へ」のシーンに蜻蛉日記・枕草子… 古典の名作、SNSでファン歓声
政治的な理由で残った和歌たち
水野:「光る君へ」のまひろだと、残したくない歌は容赦なく燃やしていそうです。 たらればさん:難しいのは、当時の人が何を「残したくない」と思ったかどうかは、残っていないので分からない、ってことなんですよね。 たとえば藤原道長も紫式部も清少納言も、当時の貴族の一般常識として、わりと頻繁に歌を詠んでいたはずです。歌会にも出ているし、贈答歌ももっと交わしていたはず。 でも、そもそも1000年前の人たちなので、政治的な理由がないと残らないんですよね。 定子さまの書いたものもあまり残っていません。われわれは、「枕草子」や「栄華物語」を通してしか、定子さまの性格や姿が分からないわけです。 だから現代の視聴者であるわたしたちは、「定子さまが動いている」というだけで心が千々に乱れるわけですよ。 水野:次の回では、清少納言がついに出仕して定子さまと出会いそうですよね。 たらればさん:今回(第14回「星落ちてなお」)が西暦990年の話なので、この時点から3~4年後だと思います。正確には分かっていないんですが、数年飛ぶんだろうな、と。そうなったらそうなったで、中関白家(藤原道隆を祖とする一族)の栄耀栄華が極まり、そして大変なことが起きることになるんだろうな…と。 じれったいのは、この先、紫式部・まひろが越前へ行くのが6年後なんです。つまり、まひろの父の為時(岸谷五朗さん)はあと6年間、無職が続きます(苦笑)。 水野:お父さんの為時は、不遇の目に遭わせた兼家が亡くなっても涙してしまう、いい人だから許してほしい…。 たらればさん:為時にはもっとずるい人になってもらわないと(笑)。 たらればさん:清少納言のターンが来週からしばらく続くと思うと、嬉しいやら切ないやらの時間が毎週のように来るんだろうなと思うんですが…。 一条天皇はもう一段階の進化があって、成長した姿を演じる塩野瑛久さんがすばらしい姿を見せてくれるはずです。 水野:予告では、笛を吹く姿で登場されていましたね! たらればさん:笛の名手だったと言われる一条帝は、漢詩も和歌も得意で、字もきれいでスーパースターだったと言われているので…それこそ情緒が乱れます…。 水野:楽しみですが、(主にたらればさんが)どうなるかどうか…。とはいえ、こんな風に国語で習った古典作品が登場すると、ますます平安文学に親しみがわきますね。 たらればさん:気が抜けないなー!!というのがオタクの心境です(笑)。 「紫式部が大河ドラマの主人公になる」という時点で「源氏物語や紫式部日記の記述が映像化されるんだろうな」という覚悟があったんですが、前回のエピソードにより今後「枕草子」の記述もたくさん映像化されるのかも…という期待? 不安?? よくわからない感情がものすごい勢いで続々と湧き上がっています。 なにしろ(「枕草子」の)雪山作りや香炉峰のシーンが登場するかもしれないんですよ。あぁ、どうなってしまうのか…(主にわたしの心が)。みなさん、また1週間、生き延びていきましょう。 <アンケートご協力のお願い> 大河ドラマ「光る君へ」には、これまで(~第14回)も、これからも、「源氏物語」のオマージュだと思われるシーンがいくつか登場してきました。 そこで、これから先のドラマ内で「見たい」、またはこれまでのドラマで「見てうれしかった」という「源氏物語」の名シーンを教えてください。 https://forms.gle/F1Wxm3DfGHTz3K4A6 締め切りは4月21日です。結果は次回のスペース(5月5日21時~開催予定)で、編集者・たらればさん(@tarareba722)とともに発表します。