【イベントレポート】サモ・ハン、香港映画の未来のために「チケットを買って」 倉田保昭・谷垣健治と登壇
香港映画界に多大なる影響を与えてきたアクション俳優サモ・ハンが来日。アクション俳優の倉田保昭、アクション監督の谷垣健治とともに、10月31日に東京・東京都立産業貿易センター 浜松町館で行われたパネルディスカッション「カンフー映画:過去、現在、そして未来」に登壇した。 【画像】貫禄を感じさせるサモ・ハン 「燃えよデブゴン」シリーズや「五福星」「プロジェクトA」「SPL 狼よ静かに死ね」「イップ・マン 葉問」などで知られるサモ・ハン。俳優から武術指導、監督、プロデューサーへとキャリアを広げ、香港映画界のスターの1人として多大な功績を残している。幼少期から京劇や武道の修行を積み、多くの作品に携わってきたサモ・ハンは「さまざまな師匠たちに育ててもらい、ここまで進んできました。私が恩返しできる唯一のは努力。それしかありません」と自らの歩みを振り返り、さらに「香港の武術のエッセンスは世界でナンバーワン。これは否定できない」と胸を張る。一方で、アクションのエキスパートたちが報われない時代を経て、アクションチームに映画賞を与える部門が生まれてきたという業界の変遷にも触れ、「賞の有無にかかわらず武術家やフィルムメーカーたちは一生懸命です。すべてのカンフー映画やアクション映画を製作している皆さん、武道家の皆さん、アクション指導している皆さんの貢献がリスペクトされないといけません」と念を押す。 倉田は数多くの香港アクション映画に出演し、「五福星」でサモ・ハンやジャッキー・チェン、「七福星」ではチョウ・ユンファと共演。初めて香港映画に出演した1970年代に思いを馳せ、「武術をメインにした映画がこんなに作られているとは。ここはすごいところだなとびっくりしました」と振り返る。「なんでこんなアクションばかりやっているんだろう?とだんだん不思議になってきました(笑)。NGが出ると30回以上撮り直すこともありますし。でも、それだけ徹底しているということ。ごまかしはない」と現地の制作現場で刺激を受けたことに言及し、「78歳の私が今でも現役でいられるのは香港アクションを身に付けたからだと思います」と深い感謝を示した。 単身で香港に渡って経験を積み、「るろうに剣心」シリーズのアクション監督をはじめ国内外の作品に携わる谷垣は、このたび第37回東京国際映画祭でジャパンプレミアが行われる「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」でもアクション監督を務めた。同作にはサモ・ハンも出演しており、谷垣は「よく兄貴(サモ・ハン)に言っていたのは、(同作のアクションは)ご自身が昔作ったものばかりですよって。感覚として体の中に刻まれているんです。子供の頃から」「結局、ほかの海外の制作現場に行ってもあの頃の香港のカンフー映画から影響を受けているんです。カンフー映画は、世界中どの国にもあるチャイナタウンみたいな感じ。サモさんは全世界に影響を及ぼし続けてきたんです」と敬意をあふれさせる。 Q&Aコーナーでは客席から「香港映画をより世界で輝かせるために私たち(ファン)ができることは?」という質問が。サモ・ハンは「香港映画のチケットを買って観てください。これが一番簡単な方法です。1人10枚買って、映画館を貸し切りの満席にしてください(笑)」と茶目っ気をのぞかせながら繰り返し呼びかけ、「観客の支持なしに私たちは輝けません。引き続き創作できるように支えてください」と願いを込めた。映画ナタリーでは後日、より詳細なレポートを掲載する。 本イベントは、第37回東京国際映画祭に併設されるビジネスコンテンツマーケット・TIFFCOM 2024内のセミナー「Hong Kong Films @Tokyo」の企画として催されたもの。会場には国際共同製作やセミナー参加などを目的にコンテンツ業界の関係者が多数来場した。