マンハッタンは本当にたった24ドルで売られたのか? 悪名高き歴史的大バーゲンの真相は
はっきりしない詳細
1626年、オランダ人はそのようにしてマンハッタン島を手に入れたようだ。オランダ西インド会社に宛てた手紙で、入植者のピーター・シャーゲンはマンハッタン島を「インディアンから60ギルダーで購入した」と説明している。 ほかにも、オランダ人がレナペ族から島を購入したという記録があるが、実際の譲渡証書やそのほか買収に関連する通信文書は見つかっていない。また、支払われた金額と取引の性質そのものも、400年近く議論の的となっていた。 1840年代に、歴史家のエドマンド・ベイリー・オキャラハンが、オランダ統治時代のニューヨークに関する文書を掘り起こし、初の学術的な州の歴史を著した。彼は後に、州の記録管理官に就任している。 そのオキャラハンが発見した文書のなかには、1626年にシャーゲンが書いた手紙も含まれていた。オキャラハンはこれを証拠に、先住民が島の代金として「わずか60ギルダー、すなわち24ドルしか受け取らなかった」と書いた。 これを読んだ人々は24ドルという額に反応した。またオキャラハンは、この地域一帯で商取引の通貨としてビーズが使われていたことにも言及しており、そこから冒頭の言い伝えが生まれた。しかし、実際に現金か商品、または両方が支払われたのかはいまだにはっきりしていない。 現代の歴史家は、当時の60ギルダーは今の24ドルよりもはるかに価値があり、約1000ドル(約15万円)に相当するだろうと指摘している。また、金銭の授受があったとしても、高価な毛皮やビーズなどの交易品を伴っていた可能性が高いという。 その解釈を裏付ける同様の取引がある。1670年に先住民マンシー族がオランダ人にスタテン島を譲渡した際、激しい交渉があったことを示す最終譲渡証書が残っている。結局オランダ人は、10万個以上の貝殻ビーズのほか、大量の衣服、道具、武器、銃弾を支払い、相互の友情のあかしとして毎年、譲渡証書を承認するという約束を交わした。 しかし、マンハッタン島の場合にはそのような譲渡証書が残っていない。そして、金銭か商品、または両方が支払われたかどうかにかかわらず、レナペ族はこの取引を「重大な出来事」とみなしていたようだと、歴史家のポール・オットー氏は指摘する。