体温が1度上がると免疫力もアップする! 体温が低いと起きることを専門医が解説
「体は冷やさないほうがいい」とは何となくわかっているけれど、実は体温を上げることで得られるメリットがたくさんあるって知っていた? 逆に体温が下がると様々な健康リスクも生じるというから冷えは想像以上に深刻な問題みたい。冷え研究の第一人者である、神奈川歯科大学特任教授・医師の川嶋朗先生に体温について教えてもらった。 【写真】「温活」の生みの親が実践している体温を上げる6つの方法 ▼川嶋 朗(かわしま・あきら)先生 神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授、統合医療SDMクリニック院長。自然治癒力を重視し、西洋医学と補完代替医療を統合した医療を実践。
理想の平熱は36.5~37.0度。現代人は平熱が下がってきている
早速だけど、あなたの平熱は何度? 川嶋先生によると理想的な平熱があるという。 「理想の平熱は36.5~37.0度です。思ったより高い印象ではないでしょうか? 実は、戦後の平熱は36.5度より高かったと記録されています。しかし、時代が経つにつれて冷暖房の普及によって体の温度調整が機能しづらくなったことや、交通網の発達により歩く習慣が減ったことで筋肉量が落ちて熱生産量が落ちてしまいました。そのため現代人は戦後の時代より、体温が低い傾向にあるのです。 現代人の平熱の低さは、ただ見過ごされるわけにはいきません。体温が下がることで、様々な健康被害をもたらす可能性があります」と川嶋先生は警鐘を鳴らす。
体温が低いことによるデメリットとは?
では、なぜ体温が低くなると良くないのか? 川嶋先生によると、下記のようなリスクがあるという。 ①免疫力が下がる 「体温が下がり血液が滞ることによって、体が機能するために必要な物質がうまく運ばれなくなります。風邪やがんをやっつけてくれる免疫細胞やそれが作り出す抗体も、主に血液にのって移動するため、必要な場所に運ばれなくなってしまうのです。さらに血液の流れが滞ることによって酸素が運ばれなければ、私たちが生きて活動するために必要なエネルギーを作る効率も落ちるので、体は活力を失い、風邪をひきやすい状態になってしまうのです」 ②がんのリスクが高まる 「ガン細胞は、低体温・低酸素状態で活性化します。ガンは遺伝子の修復機能が老化して、異常な細胞の発生と増殖を抑えられなくなるため発症する病気です。 特に60歳以上になると、老化によって誰でもこの修復機能に衰えが生じ、また免疫力も低下するので、ガン細胞が発生しやすくなります。若い年代の人たちであっても、心身のストレスや過労を経験すると、交感神経が緊張し続け、体内に活性酸素が大量に発生し、健康な細胞を傷つけて、ガンが発生するのです」 ③幸せホルモン「セロトニン」が上手く作れなくなる 「実は、幸せホルモンと呼ばれる、セロトニンの95パーセントは腸で作られています。 しかし、腸で作られたセロトニンは脳と血液の関門を通れないためトリプトファンというアミノ酸を脳に運び、脳内で作られます。そのため、血液が滞ってトリプトファンがうまく運ばれなくなると、結果としてセロトニンの分泌が減り、気持ちがブルーになりやすくなるのです」