2023年プロ野球 球団別「劇的すぎるサヨナラゲーム」(パ・リーグ編)
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、2023年のプロ野球を熱く盛り上げた「劇的すぎるサヨナラゲーム」にまつわるエピソードを紹介する。今回はパ・リーグ編。
今年(2023年)も春のWBCから秋のアジアプロ野球チャンピオンシップまで盛り上がり続けた野球界。なかでも盛り上がる瞬間と言えば「サヨナラゲーム」だ。そこで今回は、今季のプロ野球の試合から球団別の「劇的すぎるサヨナラゲーム」について振り返っていきたい。
■北海道日本ハムファイターズ:新球場で記念すべき一打
9月16日に万波中正が放った「初回先頭打者アーチ&サヨナラアーチ」というパ・リーグ史上初の記録も熱かった。だが、今季の日本ハムを象徴するサヨナラ打、という意味ではもう1人を推したい。 4月1日、開幕2戦目の楽天戦。3対3の同点で迎えた延長10回裏、先頭打者の野村佑希が二塁打を放って無死二塁とチャンスを迎え、打席には清宮幸太郎。その2球目の変化球を弾き返すと打球はライト前へ。セカンドランナーが一気に生還し、4時間22分の激闘に終止符を打った。 ―– 『たくさんの人たちに勝ちを見せたかった。みんなの気持ちが最後、僕に乗り移りました』 ~『日刊スポーツ』2023年4月1日配信記事 より(清宮幸太郎の言葉) ―– この勝利は日本ハムにとって今季初勝利であり、清宮にとってプロ初のサヨナラ打であり、そして何よりも新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」での記念すべき初勝利に。球団史・球場史を語り継ぐ上でこれ以上ない貴重な一打となった。
■埼玉西武ライオンズ:球団最年長サヨナラ記録
今季はパ・リーグ最少の3試合しかサヨナラ勝ちのなかった西武。そのうちの1つを成立させたのは頼れる大ベテラン、中村剛也だ。 7月15日の日本ハム戦。0対0で迎えた9回裏、1死二塁のチャンスで打席が回ってくると、センターオーバーのサヨナラ2点タイムリー。39歳11ヵ月でのサヨナラ打は、球団最年長サヨナラ記録(67年5月:ロイの39歳5ヵ月)を56年ぶりに更新した。 また、自身にとってはこれがプロ8本目のサヨナラ打。球団では清原和博の11本に次ぐ、豊田泰光、栗山巧と並ぶ歴代2位となった。 今季8月15日に40歳を迎えた不惑のスラッガーだが、そのバットはまだまだ健在。3・4月は打率.364、7本塁打、14打点、リーグトップの長打率.727を記録し、月間MVPを受賞。また、4月30日にはプロ野球史上初、前人未到の通算2000三振。これもまた立派な勲章だ。さらに、9月には球団初「40代でのおかわり弾(1試合2本)」を記録。来季もその剛打で、サヨナラ打のおかわりを期待したい。