怪物“OSO18”が遺した教訓 駆除1年“忍者クマ”を追い続けた藤本さんが伝えたいこと
(南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖さん)「肉食化していたということに尽きる。肉食化の原因は、エゾシカが山の中に無造作に捨てられていたこと」
“シカ”や“トド”が“ウシ”にむかわせた…?
増加の一途をたどるエゾシカ。 駆除された後、適切に処理されず、放置されるケースもあるといいます。 不法投棄されたシカで肉の味を覚えた「普通のクマ」が、何らかのきっかけで牛を襲うようになったのではないかー 藤本さんは、そう考えています。
クマ対策を担うNPOで活動する藤本さんの日課・町内のパトロールに同行するとー (南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖さん)「ここによく海岸に漂着するトドが打ちあげられる。トドの死骸をクマが嗅ぎとって海岸に出てくる」
海岸につくと、トドの死骸やクマの足跡を探して回ります。 トドの死骸はクマにとって格好のエサ。 においに誘われたクマが出没を繰り返したこともありました。 (南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖さん)「シカでもなんでも死骸があれば、においでクマはすぐ寄ってくるので、クマがエサの味を覚えてしまったことで、人間に対して被害が起きてしまう、それを防げるのは人間でしかない」
藤本さんが思う「OSO18が残した教訓」。 それを伝えるために7月、追跡の様子を記録した本を出版しました。 多くの人がクマについて知ることが対策の近道と考えているからです。
(南知床ヒグマ情報センター 藤本靖さん)「ひとつの食べ物に執着するというのはどこの地域でも同じです。仮にそうなってしまったら、同じことをそのクマはどんどん繰り返していきます。それをさせないようにする努力が人間側として必要ですし、OSO18から得られた教訓は、ひとりでも多くの人にクマのことを知ってもらうことに尽きるのではないかと思います」
クマの目撃情報が相次ぐ道内。 OSO18と呼ばれたあの1頭は、クマを近づけないため、人間が守るべきことを私たちに訴えかけています。