崖っぷちで示した大黒柱の覚悟、逆転勝ちを導いた琉球ゴールデンキングスの今村佳太「大事な場面では自分が責任を持ってプレーしたい」
「土壇場でそれぞれがより信頼してプレーできたのが、結果として現れました」
琉球はレギュラシーズン終盤に痛恨の4連敗と大きく失速。その結果、名古屋ダイヤモンドドルフィンズに西地区王者のタイトルを最後にさらわれ、地区7連覇を逃してしまった。チームの一番の問題となっていたのは、今村も言及したようにここ一番で我慢しきれないことだった。特にオフェンス面は、この試合の前半にもあったように、流れが悪くなると外国籍選手のドライブによる強引なシュートという個の単発なオフェンスに陥る悪癖が続いていた。 だが後半はその悪い流れを今村がハンドラーになることで断ち切った。チームが下降線を辿っている間、琉球のハンドラー役はヴィック・ロー、アレン・ダーラムが務める場面が増え、今村は過去2シーズンと比べて明らかにボールタッチが減っていた。しかし、CSの大事な初戦のビハインドを負った崖っぷちの状況で、今村はエースとしての強い覚悟を見せた。 「2人を信頼はしていますが、こういう大事な場面では自分が責任を持ってプレーしたい。ここは自分がやるべきというのは、自分が一番よくわかっています。(レギュラーシーズン終盤に)自分がプレーに絡んでいないのは悔しい気持ちがありました。是が非でも自分がプレーをクリエイトしたいという気持ちがCSに出ました。それが良い結果に繋がったと思いますし、明日もそういう気持ちでやっていきたいと思います」 また、無念のファウルアウトによって、ベンチで祈ることしかできなかったオーバータイムの心境をこう明かす。「自分がコートにいれないのは、不甲斐なかったですし、悔しかったです。ただ、チームメートをずっと信頼していました。特にロー選手にはずっと『信じてるから』と声がけをしていました。それに応えてくれたチームメートに感謝したいです」 レギュラーシーズン終盤の琉球は、各選手の責任感、チームファーストの献身性がうまく噛み合わず、その結果ストレスがたまり我慢強さが徐々に失われていった。ただ、CSに向けて、そういった負の感情をリセットし、文字通りチーム一丸となれたことについて今村は語る。「今シーズン、全員が気持ちよく送れたシーズンではなく、それぞれが悔しい気持ちを持っていました。その思いを一回置いて、自分たちが優勝する気持ちで臨んだことが今日のすべてです。土壇場でそれぞれがより信頼してプレーできたのが、結果として現れました」 そして今村個人としても、ようやく「今更といえば今更ですが、このタイミングで自分がこういうプレーをすればチームがうまくいくと見えてきた収穫がありました」と大きな手応えを得ている。 今日の第2戦、ダブルオーバータイムの激闘により両チームの中心選手たちは昨日の疲労から完全にリカバリーするのは難しいだろう。そんな中、結果的に今村はファウルアウトによって31分30秒とプレータイムが抑えられた。いつもと同じコンディションの大黒柱が、違いを生み出すことで琉球は連勝を狙っていく。
鈴木栄一