疑問はあるものの…すでに、2億7千年前に「哺乳類以前の生物」が「体内で熱を作っていた」驚愕の道筋
長い長い進化の中で、私たちの祖先は、何を得て、何を失い、何と別れてきたのかーー 約46億年と言われる地球の歴史において、生命が誕生は、遅くとも約39億5000万年前と言われています。そして、最初の人類が登場するのは、約700万年前。長い地球の歴史から見れば、“ごく最近”です。 【画像】獣弓類から哺乳類へ…大量絶滅を生き延びた「哺乳形類」とはどんな生物か しかし、そのホモ・サピエンスも、突如として誕生したわけではありません。初期生命から現在へと連綿と続く進化の果てに、生まれたのです。私たち「ホモ・サピエンス」という一つの種に絞って、その歴史をたどってみたら、どのような道程が見えてくるでしょうか。そんな道のりを、【70の道標(みちしるべ)】に注目して紡いだ、壮大な物語が『サピエンス前史 脊椎動物から人類に至る5億年の物語』です。 この『サピエンス前史』から、70の道標から、とくに注目したい「読みどころ」をご紹介していきましょう。今回は、生物の「ホメオタシス(恒常性)」に関するトピックをご紹介しよう。諸説を考慮すると、恒常性に関する器官や組織の獲得は、それを目的とした発生・発達したわけではなさそうです。 *本記事は、『サピエンス前史 脊椎動物から人類に至る5億年の物語』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
ホモ・サピエンスへの道、17番目の道標は「汗腺」
ペルム紀の陸上生態系で優位を勝ち得ていった単弓類。その中から分かれた真盤竜類は、多様化を進め、順調に繁栄していった。 この過程のどこかで獲得されたとみられている【第17の特徴】が、「汗腺」だ。 つまり、「汗」をかくことができるようになったとみられている。そして、獲得された汗腺の一部は、のちに「乳腺」につながっていったのではないか、との指摘がある。 それは、2002年にスミソニアン動物園(アメリカ)のオラブ・T・オフテンダルが提唱した仮説による。 汗腺と乳腺は、そのつくりがよく似ている。そして、乳腺の方が複雑だ。そのため、汗腺が変化して乳腺になったとみられている。 もちろん、汗腺も乳腺も、化石に残らない。少なくとも、これまでに化石となった汗腺や乳腺は、まず、発見されていないと、見ていいだろう。 しかし、“ヒトに至る系譜”の進化の過程のどこかで、汗腺は獲得されたはずである。
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