単なるファッションブランド以上の存在に 「ニューバランス」の最新コラボレーター「ブリックス&ウッド」
ーー全体のカラーリングはマダガスカルサンセットモスが由来で、それぞれのカラーごとに異なる素材を採用しているんですね。
ダニ:そうなの。メッシュ地のトゥのアンダーレイでバタフライエフェクトを、リップストップ生地のサイドパーツで虫取り網を、レザー地のダブルアイレットにドットをあしらうことでチョウの羽模様を、湾曲したプラスチックパーツのヒールでチョウが水の上を羽ばたいた時にできる波紋を表現していて、クイックシューレースの先端もあえてバラバラにすることで、チョウの触覚をイメージしたわ。あとは、右足のサイドにだけ「ブリックス&ウッド」のブランド名をあしらっているのがポイントかな。
ーー本作をはじめ、これまで「ニューバランス」と3つのコラボスニーカーをデザインしてきましたが、重要視してきたことはなんでしょうか?また、普段のアパレルのデザインフローとは異なるものでしたか?
ケイシー:最高の質問だね!普段アパレルをデザインするときは、まずダイレクトにリーチできる地元サウス・セントラルのコミュニティを想定し、どうストーリーテリングするかを考えているけど、スニーカーに関してはそもそもの畑が違う。そして、「ニューバランス」にはオリジナルのファンがいるわけだ。彼らは、俺たちが普段接しているような層とは異なり、おそらく世界各地の一般大衆に近いと思う。だから、「日本人やフランス人は、俺たちがデザインしたスニーカーを気に入ってくれるかな」といった具合に、今まで考えていなかったロサンゼルスを離れた視点が必要になったんだ。要するに、コンフォートゾーンから抜け出して、オープンマインドにならなければいけない。それに、スニーカーというアイテムの特性上、独特のこだわりやスタイルを持ったヘッズとナードが多いから、そこの新たな知見も必要だったね。
ーーということは、「ニューバランス」との3度のコラボを経て「ブリックス&ウッド」での仕事にも変化はありそうですね。