繰り上がり出場でチャンスをつかんだ坪井康晴が下克上へ予選2位で突破【下関ボート・SG「第27回チャレンジカップ」4日目」】
◇22日 SG第27回チャレンジカップ4日目(山口県・下関ボート) ◇コラム「松ふね屋 チャレンジカップ特別編」 降って湧いたようなチャンスをつかみ、一気に頂点に駆け上がる人間がいる。持ってるな、と人は言う。けど、違う。幸運は陽光のように、万人の頭上に等しく降り注ぐ。でも、その幸運を「幸福」へと昇華させられる人間はまれで、多くの人間は突然訪れた幸運に慌てふためき、それをフイにする。そして成功者をうらやみ、己の不運を嘆く。 アイツ、持ってるな…。おのれの怠惰や準備不足を棚に上げ、こう嘆く…。いや、自己紹介はいらない。 「いつも通り。気負ってないです。気は楽ですよ。追加で来たんで…」 ”幕尻”からの下克上の可能性が日々現実味を帯びていく。それでも坪井康晴(47)=静岡=は涼しげに笑いながら、こう答えた。 一度は次点に泣いたはずだったチャレンジカップ出場。それが、石野貴之(42)=大阪=の欠場という思わぬ形で出場選手枠の末席に滑り込んだ。2日目までを堅実にまとめると、3日目に3コースから初の1着。「あれで流れが来たかなと思った」。淡々と語る。降って湧いたチャンスの上に、またチャンスが降って湧いた。それでも慌てない。震えない。日頃の準備と鍛錬があるからこそ、平静でいられる。 グランプリ圏内への浮上には、もちろん優勝が絶対条件。「できるように頑張ります」。心技体。そしてこの舟足。万全の準備がある。もはや追加でも幕尻でもない。準優10Rで纏(まと)う純白のカポックが、その証しだ。
中日スポーツ